比較的狭い世界での、主人公の心の動きを描いた小品的作品ながら、
原作やコミックスと同様、このドラマCDの出来も素晴らしいです。
脚本や演出と並んで特に感心したのは、BGMの使い方の繊細さです。
主人公と、二人の違う相手(本命と慰め役)とのツーショット場面で、
それぞれに印象的なテーマ曲が流れるシーンが2度ずつあるのですが、
同じ曲を使っていても、会話の流れが明るい時と そうでない時とで、
和音進行の長調と短調が変化していたり、
特に本命との絡みのシーンでは、それぞれの内容に合わせて
インストルメンタルにボーカルをミックスするタイミングが絶妙で、
直後の雨のSEと合わせて、とても効果的に使われていました。
テレビドラマなどでは、これぐらい巧みでも当たり前なのかも知れませんが、
この手のCDドラマでは、もっと上手くBGMが使われていれば、
より感動が深かったのでは と残念に感じられる時もあります。
聴く方は音だけに集中しているので、曲の印象はより強くなりますしね。
さりげなく、でも主人公のせつない気持ちにじわっと引き込まれる、
まさにお手本の様な素晴らしいBGMの使い方でした。