川口浩探検隊が放送された翌日木曜日の朝、僕らの話題は番組一色だった。
皆、何一つ疑うこともなく真剣に番組について語り合った。
なぜ、これだけ大発見をしてもどこの新聞にもニュースにも報道されないのか。
どこかの政府の圧力ではないのか?まだ発表できるレベルではないのではないのか?
また遠くを走る探検隊のジープを撮影するカメラマンは毎回ひとり取り残されてしまっているのか?
あまりにも多くの謎がある番組で、毎回はっきりした結論を出してくれない。
僕たちは、描かれてない多くの謎を自分たちで議論し、自分たちの結論を出していった。
もちろんバゴーンはただのおっさんではないかと荒唐無稽な事を言い出す友達もおり
喧嘩になったが次の冒険までにはまた仲良くなった。
こういった経験を通して僕らはおとなになったのだと思う。
こういった議論を通した探求は、社会に出たとき課題に直面したとき大いに役に立った。
例えば大きな契約を取るとき、大切な企画書をまとめるとき、会社の戦略を立てるとき
いつもSWATのテーマ曲が頭の中で鳴っていた。
皆表に出さないが心のなかで口づさんでいた。
そしてそれらが成功したときは当然ロッキーのテーマだ。
翻って今の子供達にはこの様な生きる糧となる番組があるだろうか?
ちーかわを見て育った子どもたちがソ連や北朝鮮中国が攻めてきたときに戦えるのだろうか?
川口浩が永遠に探検をやめてはや30年、もはや多くの日本人が彼の生き様を知らない。
そんな中、彼の在りし日の活躍を描いたDVDを鑑賞できる事は大変意義深いことだと思う。
文部省選定にすべきドキュメンタリー作品だと思う。