やっと手元に届いた。早速、聴いた―。
幻のテープが陽の目を見たのだ。
Albert Ayler最晩年の南仏La Foundation Maeghtでのライブが、2晩行われたことはよく知られている。
1970年7月25日と27日。
このうち27日のコンサートを収録したのが、名盤「ラスト・レコーディング」vol.1,2(現在「Nuits De La Foundation Maeght 1970」のタイトルでCD化)。
本作は25日のライブを収録したファン待望の作品で、アメリカで復活したESPレーベルからのリリースとなった。
メンバーは27日のクインテットからピアノのCal Cobbsを抜いたカルテット。
曲目は1を除いて27日とは重複しない。
Mary Mariaは主としてヴォーカルで参加しているので、基本は「Supiritual Unity」などと同じベースとドラムだけのバッキングである。
アイラーの演奏は27日とほぼ同質で、まさに生涯のピークを極めたといえる出来映えである。
難をいえば、Mary MariaやAylerのヴォイスが少しうるさいことと、Cobbsが創っていた適切な間が存在しないこと、さらに27日のほうがいい曲が揃っていたという印象があるが、たいした問題ではない。
「ラスト・レコーディング」を初めて聴いてから30数年。
その2日前の演奏にいま出会えたことを、素直に喜びたいと思う。
長年の思いが報われるこんな瞬間もまた、音楽を聴く楽しみのひとつである。
最後の曲「Ghost」が、今夜は、まるでRollinsの「St.Thomas」のように、歓喜の響きを伝えてくる。
瞑目して呟く、「感無量」と。