名門私立男子校の西欧史教師ウィリアム・ハンダートの
半生をとおして、人生、教育、そして教師とは何か問い
かける名作です。
ハンダートは有力上院議員の息子で問題児のセジウィッ
クを指導する過程で、生徒の成績の順位を入れ替える過
ちを犯し、まっとうに努力して来たマーティン・ブライ
スを傷つけ、そうまでしてチャンスを与えたセジウィッ
クには裏切られ、大きな挫折を味わいます。
その25年後、ハンダートは当然選ばれると思っていた次
期校長の選に漏れて教壇を去り。さらに大企業の経営者
になったセジウィックに再び裏切られることになります。
ハンダートは傷心のうちに、かつて自分の不正でコンテ
ストを逃したマーティン・ブライスに自分の罪を告白す
るのです。生徒の信頼を裏切った教師と、信頼していた
教師に裏切られた生徒、胸の痛むシーンでした。
新学期、新しい生徒たちを迎えた学校には教壇に戻った
ハンダートの姿がありました。そして遅れて教室に着い
たいかにも聡明な少年はなんと「マーティン・ブライス」
と名乗ったのです。
これに続く美しくも静かなクライマックスは、本当に
感動的でした。ラストシーン、老いたハンダートが朝の
川でボートを漕ぐ姿の輝かしさといったら言葉がありま
せん。