イーゴリ・ストラヴィンスキーの《春の祭典》と《ペトルーシュカ》を、マリス・ヤンソンスの指揮するオスロ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で聴く。
ヤンソンスは、ラトビアのリガ出身の指揮者。レニングラード音楽院でヴァイオリンとピアノを学んだ。父アルヴィドもその音楽院の指揮科で教えていたが、ヤンソンスは父親から直接の指導は受けず、父のリハーサルなどを聴いて影響を受けたという。1969年から、ウィーンに留学してハンス・スワロフスキーやカール・エステルライヒャーの指導を受け、ヘルベルト・フォン・カラヤンの謦咳にも接した。1973年からレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団のエフゲニー・ムラヴィンスキーの助手を務め、1979年から2000年までオスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者として活動した。1997年からピッツバーグ交響楽団の首席指揮者を兼任し、2004年にこのポストを勇退後は、リッカルド・シャイーの後任としてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者を歴任している。2003年からバイエルン放送交響楽団の首席指揮者のポストも兼任し、こちらは亡くなるまでその任に当たった。
ヤンソンスは、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団の技術向上を果たしたことで名を挙げた。そのオスロ・フィルハーモニー管弦楽団でストラヴィンスキーの作品に挑戦するわけだが、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団はストラヴィンスキーの作品には不慣れらしい。ヤンソンスは、楽セクションを中心に手堅く拍子を含めて管理し、アンサンブルが浮足立たないように努めているのだが、金管セクションが慣れない音楽を目を白黒させながら演奏しているのが目に見えるようだ。作品の内実に肉薄するところまで、表現が練られていないように感じられる。《ペトルーシュカ》も、《春の祭典》同様に、少々頼りない奏楽なのだが、こちらはそういうスタンスが曲想とマッチして、意外と面白く聴けた。