ロンドン出身のトラックメーカーA. DobsonとヴィジュアリストM. Pinheiroを核に、ドラマーとエジプト人ヴァイオリニストを加えた変則的な構成のエレクトロニカ・ユニットDigitonal。
本作はPosthuman主宰のレーベル・seedからリリースされた4曲入りのマキシで、作風はtoytronicからの1stアルバムの流れを汲むもの。ヴァイオリンやチェロといったストリングスが、抑え目の端正なビートと絡み合ってメランコリックで透明感溢れる情景を描き出す。
Opus 3のK. Haukshowがtrack-1のゲストヴォーカルに迎えられ、美しく儚げなスキャットを披露している点は、前作に見られなかった新たなアプローチ。Arovaneの‘Lilies’やFenneszの‘Venice’など、ヴォーカルの導入が試みられる作品が昨今のエレクトロニカでは目に付くが、Digitonalはメンバーがクラシックをバックグラウンドに持っているためか、特にストリングスとヴォーカルのバランスに注意が払われている。このジャンルにありがちな、ヴォーカルだけが曲から浮いた印象がないところはさすが。
toytronicはもちろん、expanding、couchblip、shaped harmonicsなどのレーベルから出ているアルバムを好んでチェックしているリスナーにお薦めしたい。必ず本作を気に入ると思う。