NHK放映時にはカットされていた部分も入れた、フルバージョンを見て欲しい。特に「マスグレーヴ」の方。実は非常に不自然なカットだったことが放映時から気になっていたのでスッキリした。
実は、当然のことではあるが、NHKバージョンでは、ホームズがコカインを打つシーンは全てカットされていた。(本国版でも、初めは原作通りに=当時はコカインは違法ではなかったりタバコの害も知られていなかったなど、現代とはかなり状況が異なる=ということで描かれていたが、「悪魔の足」を最後にそういうシーンはなくなった)この「マスグレーヴ」でカットされていたのもコカインのシーンで、だからこそその後やたらホームズが躁状態になっていたのだ(NHK版ではいきなりみんなで談笑しているシーンだったのでわからないが)。
ホームズがコカインを打つことをワトスンが医者らしく心配しているシーンもファンにはたまらないのだが、致し方あるまい。実は完全版では第一話ののっけからそういう会話であるし、コカインを打つ時はホームズはワトスンにわざわざ見つかるようにして打っていたりもする(ホームズ作品の研究書によると、コカイン中毒者は人前で打つのを好むとも言われている)。ホームズ役のジェレミー・ブレットの最大の功績は、本人も述べているように、「ワトスンがホームズを必要としているのではなく、むしろホームズの方がワトスンを必要としていると解釈した」ことである。ホームズはかなりワトスンにかまってほしいらしいことが一番よくわかるシーンなのだが、これは他の部分でも随所に見られるので、なくなってしまっても我慢しよう。
「悪魔の足」完全版では、ホームズ自身がコカインと決別する感動的なシーンが見られる。この姿は逆にドラマならではの素晴らしいシーンになった。必見である。