レビュー
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
新たに発見された16ミリのモノクロ・フィルムからDVD化されたライヴで、一昨年発売された「ワルキューレ」第一幕と同夜の演奏。ワーグナーが円熟の筆致で書いた愛らしい小品に漂う澄み切った美しさを自然な息遣いで描きだす至高の名演である。悠揚として迫らぬスケールの大きさで他の追随を許さない巨匠だが、ここでは繊細に音を紡いで透明感の高い室内楽的な響きを作り出している。コンサートマスターのバリリ以下、ウィーン・フィル選りすぐりのメンバーによる妙技も聴きものだ。「平和の動機」がチェロで静かに奏でられ、ホ長調の主和音で曲が閉じられる時、指揮棒を譜面台に置いたクナッパーツブッシュが慈しむようにオーケストラを止める両手の動きが印象深い。 (山本義彦) --- 2005年03月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)