ロックにおいてルックスは重要である。順当に考えると、彼らのお笑い芸人めいたルックスは、どう見てもハンディキャップである。
しかし、逆にあのルックスが誠実さを感じさせるのだ。私は曲を聴くと、あの丸顔の熱唱が音と共にどうしても浮かんでくる。熱くなる。応援したくなる。
ギャグに走らず、しかし少々照れながら真実を歌おうとする彼らを、どうしても信じたくなる。
サンボマスターは、一人で楽しみにくいアーティストである。他人に教えたくなる。「こんないいバンドがあるのだ、あなたにも聞いてほしい」と叫びたくなる。ロックという枠を超えて、ロックに無縁な人にも届く力を持ったアルバムである。