ブラザー・ジャック・マクダフというと、60年代プレスティッジのあのコッテリとしたサウンドしか思い浮かばないが、本作はかなり洗練されている。
バックのミュージシャンもちょっと風変わりで、ジョン・コルトレーンとの共演で有名な(というか、私はそれくらいしか知らない)チューバ奏者のレイ・ドレイパーが、全面的に参加している。6曲中4曲を提供、オーケストレーションに指揮にと、八方の活躍。ブバブバッとしたチューバも聴ける。
私の記憶に間違いなければ、彼はかなり幼少でコルトレーンと共演を果たしたはずで、本作の別の若いメンバーたち、ランディ・ブレッカー、トニー・レヴィン、マイク・マイニエリ、ジョー・ベックらとほぼ同世代では?
そう考えると、あまり不思議ではないのかも。結局、基本的に才能のあるミュージシャンだったのだろう。
あと、トランペットのオル・ダラというのも、自分の中ではちょっと意外なセレクション。
そういえば、本作、トランペットとトロンボーンが2本ずつ(プラス、ドレイパーのチューバ)で、木管が居ないのも特色か。
マイク・マイニエリのヴァイブがクリスタルなタイトル曲や「ワンクズ・サング」あたりが好き。
今回の「ニューノート・クラシック・シリーズ」ラインナップの目の付け所は大変良いが、ライナーは、MUROという人と二木崇という人の対談形式で、3〜5月の30枚のリイシュー、全部これで通すつもりらしい。
これが、自家撞着、一人(二人?)よがりの無駄な発話部分が多く、読んでいてイライラする。(我慢して読むとそれなりに面白いこともあるが)
初CD化も含む希少作が多く、みんな情報に飢えている訳だから、原田和典あたりに、熱意はあるが整然とした文章を書いてもらったほうが、ユーザーにとってはありがたかった。