この時代のアーティストではオフコース、安全地帯、チューリップなど、リリックよりは音楽、特にメロディで勝負している音楽が好きだった。さだまさし氏と言えば『無縁坂』『精霊流し』などのヒットを飛ばしたマイナー・コード(短調)多用の「フォークシンガー」というイメージだったが、このアルバムを聞いて衝撃を受けた。メジャー・コード(長調)の都会的で洗練されたカッコイイ曲が目白押しだ。メロディーがヨイ。そして、ジミー・ハスケル氏のストリングス・アレンジがまたすこぶるヨイ。ゾクゾクした。40年ぶりくらいに購入して聴いてみたが、やはりヨイ。色褪せぬ名盤である。その後も数々の名曲を世に送り続けているさだ氏だが、私にとって氏のベストアルバムはこれである。
ただ、ちょっと残念だったのは、発売当時は『つゆのあとさき』がダントツで好きだったのだが、今聞いてみると『飛梅』(マイナー・コードだ)に一番惹かれてしまう自分がいたこと。明らかに年齢のせいだ。そして、さだ氏のあの伸びがあり、しかもパワフルな声を真似してみたいとオリジナル・キーでカラオケに挑んだが、高すぎてとても歌えないこと。明らかに才能のせいだ。脱帽!!