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「自分たちのことを、自分達がいちばん得意な楽器で表現したかった」というミトの発言通り、クラムボンというバンドを構成する3つの主成分――ミトのベース、原田郁子のピアノ、伊藤大助のドラム――がダイレクトに伝わる、クラムボン史上もっとも強度の高い作品だ。先鋭的な音楽的センスに注目が集まりがちな彼らだが、このアルバムを聴けば、3人が演奏者としてもきわめて優れていることがはっきりとわかるだろう。また“命の素晴らしさ、貴さ”をテーマに持つ「バイタルサイン」をはじめ、より率直な表現を志した歌詞も印象的。モノ・ミックス盤と益子樹によるステレオ・ミックス盤の2枚組。(森 朋之)
『id』『imagination』同様、小淵沢での合宿レコーディングを通して生まれたクラムボンの最高傑作。ミト・プロデュースによるモノラル・ミックスと益子樹によるステレオ・リミックスの2枚組でリリースされる本作はドラムの音ひとつとってもまったく質感が違うので、曲目は同一でもアルバム全体では2種類の味わいを楽しめる。なので、ここではモノラル盤のほうに絞っていきます。まずソロ活動によってその歌力を強化した原田郁子のヴォーカルが、一曲目の「バイタルサイン」から凄みすら感じさせる。そして彼女のピアノのフレーズと歌の絡み合い具合が過去最高の快楽をもたらす前半から、伊藤大助のドラムを前面に出した豊潤なリズムに満ちた後半への流れるような構成が気持ちいい(このへんの印象がステレオ盤ではまた違っていておもしろい)。楽器の鳴りや行間まで豊かなアンサンブルにはジャム・バンド的な即興性とエレクトロニカ的な一音への推敲がある。シンプルな愛すべきポップ絵巻。 (内田暁男) --- 2005年03月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)原田郁子(vo,p)、ミト(bs)、伊藤大助(ds)からなるクラムボン、前作から1年4ヵ月ぶりのリリースとなる6枚目のアルバム。2枚組だが楽曲はまったく同じもので、モノ・ミックス盤と益子樹によるステレオ・ミックス盤という組み合わせになっている。 -- 内容(「CDジャーナル」データベースより)