さて、ノースシー ジャズフェスの演奏だが、実は、ここまで凄まじい "You and the night and the music "、もしくはスタンダーズの演奏を私は知らない。この音源は約二時間分あると、DJのジャズ評論家、本多俊夫氏は語っていたが、この音源、CDにはならないのだろうか。演奏が凄まじいという以外に、本多氏はこんなエピソードを紹介している。曰く、約束違反のテレビクルーが入ってきて撮影をしていることに気づいたキースが、突然ピタッと演奏を止めて、クルーに向かって追い払った。そしてピアノに戻ってきて何事もなかったかのように、演奏を止めた全く同じところから演奏を再開して、大うけに受けた。と。 うーむ、見てみたい。
何しろ最高である。このDVDはデザインはとても地味でパッとしないが、中身は絶頂期のスタンダーズを見事に捉えていて一押しの出来だ。このスタンダーズも長年を経過し、途中でキースの体調不良等もあり紆余曲折があったが今に繋がっている。しかしやはり絶頂期はこの頃で未だお互いの手の内を知り尽くさないスリリングさと新鮮さが溢れている。最後に行くほど良くて、『On Green Dolphin Street』→『Woody'n You』→『Young And Foolish』と続くのだが、『On Green Dolphin Street』などはCDではAt The Blue Note: The Complete Recordings [Disc 5]に登場するだけだと思うがこちらの方が何倍も素晴らしい。