メディア掲載レビューほか
ワーグナーは『さまよえるオランダ人』を1841年に完成させたが、その初稿を上演することはできず、ようやく1843年に改訂版で『オランダ人』を世界初演することができた。『オランダ人』はその後も作曲者によって改訂が加えられ、ワーグナーの死後、現在の慣用版が成立した。ヴァイル&カペラ・コロニエンシスは、その上演されなかった1841年初稿を世界で初めて録音した。しかも、彼らはワーグナーの時代の楽器を再現するピリオド楽器を使用。二重の意味での画期的な世界初録音である。初稿は舞台がスコットランドであり、序曲や第3幕の終結部が慣用版とかなり違う。演奏自体はすっきりとまとめあげられている。弦楽器の編成が小さい(第1ヴァイオリンが10人)が、演奏会形式の上演をライヴ録音したものであり、オーケストラの音はしっかりと聴こえる。歌手陣は等身大。『オランダ人』をよく知る聴き手には、作品面でも演奏面でもまさに興味の尽きない録音である。 (山田治生) --- 2005年03月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
ヴァイルの演奏は白粉を落として若々しい素顔を見せた舞妓のように新鮮である。厚化粧で聴きなれた歌劇が、若き作曲家のペンから生まれた時の初々しいロマンの香りを取り戻した。初稿版の持つ一気呵成の勢いを際立たせる快活なアンサンブルが小気味良い。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)