Amazonレビュー
私たちは、ほんとうは人の話を聞きたいのではないだろうか。しかもかなり突っ込んだ話を。学校や職場では距離を取らなければ巧く生きていけないくせに。そんなことをこの23歳の女性歌手の歌から、嫌というほど実感させられてしまった。彼女が影響されたという井上陽水や吉田拓郎の70年代の作品たちに、自身が主役の私小説の趣きがあったように、彼女もポップソング1曲に凄まじい質・量のリアルな「話」を盛り込む。どんな取材や詳細なプロフィール資料より、熊木杏里ヒストリーを強力に伝える「長い話」、2年ごしの思いを告白しようとする様子を「新春白書」というイメージに着地させる個性。口が裂けても懐かしい音楽などという形容はしたくない。(石角友香)
メディア掲載レビューほか
女性シンガー・ソングライター熊木杏里の2年ぶり、移籍第1弾となるアルバム。朴訥とした歌声と温もりのあるフォーク・テイストなサウンドで、ストレートな歌詞のフォーク・ロックを聴かせてくれる。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
父の影響でフォーク・ソングを聴いて音楽に目覚めたという、23歳のシンガー・ソングライターのセカンド。アコースティック・ギターを軸に音数をギリギリまで絞ったサウンド、感情を抑制したさらさらとした歌声は、どこか森田童子を彷彿とさせるところがある。そして、全体からそこはかとなくにじみ出るさびしさや不安、行き止まり感が、彼女の最大の強みだ。だからこそ、“他人まかせの福袋だって それはそれで素敵なチャンス”“人は未来を 夢で買うのさ”などユニークで前向きなことばが、強い訴求力を持って迫ってくる。 (齋藤奈緒子) --- 2005年03月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)