キャロル・キングやローラ・ニーロの発掘ライヴ盤を発表してきた米エピック/レガシーの"Live from vault"シリーズから、リヴィング・カラーのライヴ盤がひっそりと発売されています。米検索サイトAMGには、わが国のみで発売された彼らのライヴ盤"Dread"('93)について、「ファンには素晴しいといわれているが音質が悪い」との評が掲載されています。鈍感な米国人にはわかるまいが、音質がどうであれ、あのアルバムがブラック・ロック史上10指にはいる傑作であったのは疑いありません。さて、その"Dread"はリヴィング・カラーの後期、ベースが名人ダグ・ウィンビッシュに変わってからの録音でしたが、このライヴ盤はバンドのごく初期'89年のCBGB'sでの録音です。ベースは初代マズ・スキリングス。ダグのベースは深く沈みこむような音色でバンドの底部を支えていましたが、マズの場合は少し歪んでピッキング・ノイズもよく聴こえるやや軽めの音色です。ヴァーノンのギター・フレーズと拮抗するように中域の印象的なフィルインを随所に挟み込んできます。なによりデビュー盤を発表した直後で、バンドがここまで完成されていた事実に驚きを禁じえません。未発表の2曲は曲自体の出来と編曲がいまひとつですが、めでたく日の目を見たことをファンとしては喜びたいところです。
フィッシュボーンはまだか?