当時多くの高評価を得た作品ではあるようですが、私には今いちですね。と言うのも、これは映画「オズの魔法使い」と同じく戦意発揚作品だからです。
戦時中に戦争映画や勧善懲悪作品が多く放映されるのは既成事実ですが、大国間の戦争と言うのは突然発生するモノではなく、日本が真珠湾攻撃に至った経緯からも分かるように、多くの場合数カ月又は数年に渡る予兆があります。その時期にどう国民の戦意を高めておくか、それは後々の徴兵時に大きく影響します。この作品では、ラストシーンでロビンが語る「ご命令があれば喜んで(従います)」と言う言葉にその意図が込められています。驚く程単純な表現ですが、様々な階層の人達を対象にする徴兵では、掲げる表現は単純な方が良いのです。
上述のように、元々娯楽としてでなく戦意発揚を意図に制作されていますから、多くの粗い描写部分があります。しかし、日本の時代劇の殺陣に当たるロビンとガイの剣術シーン、そこは非常に緻密に力を入れて描写されており、良くあれだけのシーンを撮ったなと感心してしまいます。それは役者がほぼ目をつぶる事なく長時間に渡り戦闘を繰り広げているからです。現実の格闘の中で「目をつぶる」事は致命的なダメージを受ける場合があります。ですから演出家がしっかりしていれば、役者が目をつぶる事を許さないでしょう。
ロビンと民が戦い平和を追求し、リチャード王が国を取り戻す助けをする。その結果として民は平等を、ロビンはマリアンを手に入れる。本当に少女アニメかと思う単純な作りですが、その単純さが人々の心に自分なりの「成功した未来像」を描かせるのでしょう。映像的には素晴らしい部分もありながら、明らかに戦意発揚作品として作られている以上、残念ながら高評価は難しいですね。