「宗教音楽系が好きなら損はしない」という感想が多いようなので失礼ながら、半信半疑、ほとんど賭けのような気持ちでこのアルバムを購入いたしました。
・・しかし、実際に聴いてみてもう即座に「これは買って正解だった!」と思いました。一曲目から荘厳なパイプオルガンの音色。しかも作曲者はオルランド・ディ・ラッススではありませんか!16世紀末に活躍し、ドイツの宮廷楽長なども務めたフランドル楽派の巨匠。ルネッサンス音楽を語るには欠くことのできない作曲家です。しかも、その巨匠の作品を黒百合姉妹の方々は、全く無理なく自分の音楽として見事にアレンジしておられるのです。まさかこれほどの本格的なクオリティだとは思わなくて、本当に圧倒されました。ボーカルの方の声もとても美しく、耳に心地良いです。
また、いくら宗教音楽が好きでも全曲を通してそういうのばかりだと、流石に疲れてしまうかと思うのですが、このアルバムにはピアノ伴奏に合わせて歌われる、とても爽やかで癒される楽曲も入っています。聴いてみようか迷ってる方。「黒百合姉妹」というアーティスト名から連想する、何だかオカルトチックな妖しいイメージ(?)は捨ててください・・でないと勿体無いですよ。黒百合というより、むしろ白百合。あるいは白い薔薇といったイメージです。宗教系の音楽がお好きな方は勿論、癒し系がお好きな方、クラシックファンの方にも強力に推薦いたします。現実の醜い喧騒から逃れ暫し、澄み切った天の空気に包まれるようです。