良い所
・シナリオ
なんといってもコレ。
ここまで事件や人物が繋がっていたAVGがあっただろうか。(かなり強引な部分もありますが)
そして途中からは二転三転。後半は「おいおい犯人そのままかよ」と思いきや、最後の最後でのドンデン返しはファミコンのADVを彷彿とさせてくれたし、トリックにトリックを重ねる展開にも関心しました。
まぁ真犯人の動機やトリックも強引すぎるところもありますが、これぐらいのインパクトで良かったとも思います。
ここのレビューで最後の最後にプレイヤーの推理が全否定されるのが納得いかないというのがいくつかありましたが、私はゲーム性の薄いゲームとわかり小説を読んでいる感覚だったのでそれは全くありませんでした。
小説としては確かに強引なストーリーや癖のある文章や言い回しが非常に目立ち鼻に付くところもありましたが、その人を選ぶところも小説なんだろうと思いました。
・音楽
殺人事件に合う雰囲気の曲たち。
ピアノ系の曲が多いのも更に雰囲気を盛り上げてくれます。
また、話が確信になると曲がフェイドアウトしてから「ガーン!!」など効果音や無音の使い方も上手いですね。
・捜査メモ
この手のシステムはよくありますが、上画面にあるメモをL(R)ボタンひとつで選択、操作できて非常に便利。
おかげで「それって誰だっけ?」と思ってもすぐに調べらました。
また、これは賛否両論でしょうがシナリオが進むのと比例してメモが埋まるのでクリアまでの目安になってしまいますが、個人的にはそれが良かったです。
悪い所
・ゲーム要素は少なめ
大半が場所移動→話を聞くの繰り返し。
あとはたまに選択肢があるぐらいで、AVGっぽい「アイテムを使う」や選択肢ミスでゲームオーバーなどよくある要素はなく、どう進もうがエンディングに進みます。
それ故に基本的に小説のように文章を読むのがメインとなるので、この手のサスペンスADVが苦手な人は楽しめないかもしれません。
・一部無理矢理な展開
唐突に話しかけてきた人が重要人物だったり、どう見ても意味あるだろうというような重要ワードを意味ない雰囲気で急に言い出したりと少し無理があることも。
まぁこの手のゲームには仕方ないかもしれませんが、もう少し自然に出来なかったかなとは思いました。
・短い…
クリア時間は8時間前後。
まぁサスペンスADVとしてみたら短い方ではないですが、問題はクリアしたらそこでおしまいなこと。
おまけモードなどは何もありません。
一応クリア後はすべての段階の評価でクリア、捜査メモコンプなどは狙えますがあまり差もないので、やはり明確なおまけやクリア特典が欲しいところ。
曲がいいのでサウンドテストも欲しかったですね。
総評
シリーズ初プレイです。
最初は説明書もほとんど読まずにプレイした為、強制的にネットゲームやることになって、それが文章も長ったらしいわイライラするわで挫折寸前でしたが、まさかゲーム内と現実をリンクさせる殺人事件が起こるとは。
そんなタイミングで衝撃的な殺人が起こったこともあり、第1章が終わる時は何十年ぶりにサスペンスAVGでドキドキワクワクさせてもらいました。
タイトルに「探偵・癸生川凌介事件譚」とあるのに当の本人は最後の最後までほとんど出てこないセンスも面白い。
ただやはりゲーム性は極端に低いのでゲームとして楽しみたい人、サスペンスADVが好きではない人は楽しめないと思います。
逆にサスペンスADVが好きな人は良くも悪くも色々考えさせられるシナリオなのでプレイしても絶対に損はないと思います。
是非。