2000年にアイルランド・イギリス合作で製作された作品。
男遊びが盛んなルーシーは、これまでと違った男性と付き合ってみたいと思い、ちょっと地味な感じの青年アダム(スチューワート・タウンゼント)に声をかける。いつもと違うSEXを楽しみたかっただけなのに、アダムはかゆい所に手が届くように、ルーシーの毎日をハッピィにしてくれる。
おかげで、ルーシーは生まれて初めて男に恋をする。それまでの男遍歴は、単なる遊びに過ぎなかったのだ。かくて、ルーシーの恋心は高まり、彼女の方からアダムにプロポーズ。2人は婚約する。
でも、ルーシーには2人の姉がいて、次女のローラもアダムとこっそり付き合い、すっかり熱を上げていた。とにかく、アダムは彼女たちの心が読めるかのように、みんなの気持ちの先回りをするのだ。
さらに、この3人姉妹には末の弟デビッドがいるのだが、アダムは彼の恋の相談に乗り、デビッドとガールフレンドの恋を成就させてしまう。
一体、アダムとは何者なのだ。
3姉妹すべてと付き合い、彼女たちをメロメロにしてしまい、そしてルーシーと結婚するという。女性にとっては、まさに理想の男性なのだ。
しかし、彼はジャガーを愛車にしているのだが、この車を購入した理由を、会う人ごとに違う説明をしている。さらに、ルーシーには姉たちと付き合っていることをだまっているのだ。こいつは、もしかして大うそつき野郎なのか。
と、まあ、アダムを現実的な男性としてとらえるのは間違いだ。テーマは「誰にでも秘密はある」なのだ。秘密があるからこそ、万事がうまくいくこともある。いや、秘密こそが、幸せの鍵なのかもしれない。
アダムはジャガーについて、当然のように、聞く相手に合わせて、その場限りのウソをつく(とは言っても、何が本当なのか、不明ですが)。ウソはすべて人を不幸にし、また、裏切ることになるのだろうか。
相手に正直であることを要求することが正しいのか、それとも秘密を持っていて、それを知らない方がよいのか。
もちろん、ケース・バイ・ケースだろうけれど、でも、本作のように、ウソは時にはみんなを幸せにすることもあるのである。
いや、驚きました。実に知的でシャレたコメディでした。
脚本は心憎いぐらいにうまく書けているし、演出も文句なし。アダムはもちろん3姉妹と末っ子の4人のキャラクターは、現実離れしているようで、実は見事に現実をカリカチュア化している。
ヨーロッパ産コメディの知的レベルの高さと洗練されたセンスに脱帽しました。