英国のハードコア/スラッジメタルバンドRaging Speedhornが、2005年に出した3rdアルバムです。
前作同様本作も、ブルーズやハードコアをベースにやかましい演奏&畳みかけるツインヴォーカルという内容。やかましさ・荒々しさはむしろ前作以上なのでは。前作はどろりとしたヘヴィさがあったように思うのですが、こちらはそのドロドロ感を払拭し、キレのいいラフなサウンドになっている印象です。
全身から激情を放出するヴォーカル。クリーンで歌うパートは一切ありません。曲としては真新しさはそれほどなく70~80年代の伝統的なスタイルだと思うのですが、こちらもラウド方面に針が振り切っており、速い曲も遅い曲もガラの悪さが滲み出ています。発売当時のBurrnアルバムレビューでは「工事現場で2人のバカがわめき散らしているようなアルバム」みたいな書かれ方をしていました。まあ合ってる。
#1 "A Different Shade of Shit" は破壊力満載のアップテンポナンバー。ロックンロール的な明るいリフに乗せて暑苦しい怒号ヴォーカルが炸裂します。
1曲目ラストの引き延ばしから続く#2 "Oh How the Great Have Fallen" は土煙漂うブルージーなスローチューン。渋めのリフにテンションがイッちゃってるヴォーカル、メロディアスな野郎コーラスなど伝統的ハードロックと90年代ハードコアが融合したような曲です。
メロディアスなイントロが爽やかな#5 "Snatching Defeat from the Jaws of Victory" は80年代ハードコア感のあるアップテンポ曲。勢いやキャッチーさでは本作一番なのでは。
ボーナストラックの#11 "Hatred" はThe Kinksのカヴァー。The Kinksといえば60年代から活動している超大御所バンドですが、この曲は比較的新しい1993年の曲。軽快なロカビリー調の曲が勢いまくりのハードコアに生まれ変わってます。
#12 "God of Thunder" はKissのカヴァーで、1976年の曲。原曲は威厳とパワーのあるハードロックですが、こちらはちょっとテンポが速くなってるぐらいで原曲に忠実なアレンジとなっています。
前作同様、衝動最優先で突っ走る気持ちのいい作品です。まあヴォーカル、演奏共に凄まじい圧を放っているのでその気迫に圧倒されるかもしれません。