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パトリス・ルコント監督が得意とする、「匂い立つような官能」が、最も効果的に表れた一作。1958年、フランスのレマン湖畔の避暑地。ロシアの若き伯爵だと自称するヴィクトールが、美女イヴォンヌと出会う。急速に関係を深める2人。ヴィクトールは女優を目指すイヴォンヌをアメリカへ連れて行こうとするが…。当時を回想する12年後のヴィクトールの姿が交錯していく。
ヴィクトールの視線となったカメラが追いかけるイヴォンヌの腿など、随所に肉体をなめ回すような映像が使われ、タイトルが示す“香り”を漂わせる。若い主人公2人の出会いとロマンスを、さらに官能的にするのは、イヴォンヌと親しいゲイの老人の存在だ。ルコント監督は、このように複雑に絡む人間関係から、本能的な愛を浮き立たせるのが実にうまい。風光明媚な避暑地の風景、50年代のカラフルなファッションも見どころだが、要所でのセリフとラストシーンが、「人間とは誰かを愛するために生まれてくるのだ」と納得させ、深い余韻に浸らせてくれる。(斉藤博昭)
レビュー
監督・脚本: パトリス・ルコント 撮影: エドゥアルド・セラ 音楽: パスカル・エスティーヴ 出演: イポリット・ジラルド/ジャン=ピエール・マリエール/サナドラ・マジャーニ/リシャール・ボーランジェ
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)