生まれつき髪の毛が赤いこと以外とりわけ目立つことのない少女、中嶋陽子は近所の女子高に通い、ごく平凡な高校生活を送っていた。だが、このひとつきの間、彼女は畏形の影が現れる気味の悪い夢に悩まされていた。しかも日を追うごとに、悪夢の中の影は近づいてくる…。
ある日、陽子は「ケイキ」と名乗る青年にわけもわからぬまま連れ去られてしまう。
陽子たちを追って襲いかかってきた巨鳥。ケイキから差し出された一振りの剣「水禺刀」。気が付くと目の前に横たわっていた巨鳥の骸。異常な出来事が次々と陽子の身に降りかかる。やがて月の影を映す海を通り、異世界へと導かれた彼女はあの悪夢が現実となるのを目の当たりにすることに……。
しかし、これはただの始まりでしかなかった。想像を絶するほど過酷なこの世界で陽子の運命はゆっくりと動きだしていた。
