ピアノ・トリオというジャズ・フォーマットを取ってる一方で、そのスピリットはロックやテクノに通じているところが魅力のこの人達。実際、個々のジャズ・ミュージシャンとしての力量を考えると、彼らより上手いミュージシャンはゴマンといるけれど、クイーンやブロンディ、リチャード・ジェイムスのカバーを「臭く」ならずに鳴らせるセンスで一本立ちしてみせる存在の仕方そのものは、やはり「ロック」だと言えるだろう。
ジャズ・ミュージシャンがロックの曲を演奏しただけで無条件で大絶賛するようなリスナーの態度って何となく表層的な気がしてる僕だけど、本作品については彼らの粗い魅力が良く出てるらライブ盤だと思う。(ただ、普段スタジオ盤からしてラフな録り方してるせいか、意外に音質自体はそんなにライブ盤だからどうこうということは無かったかな。)自分達のハイブリッド(雑種)なところをエラそうに振りかざさないところも良いよね。非ジャズ系の選曲に注意が行きがちだけど、実は一番格好良いのは、原曲のメロディが全く感じられない超アバンギャルドな最終曲"My Funny Valentine"だったりする。