天才を「これまで見過ごされていた審美的な価値を、独自に発見しかつ洗練された作品にまで昇華できる才能」と定義するなら、Alva Noto(Carsten Nikolai)は天才だと思う。
個人的に坂本龍一単独ではエモーショナルすぎるのと反復が多いので好きではないが、このコラボレーションはAlva Notoのノイズが入ることで絶妙なバランスがとられている。特に「Berlin」。
「Berlin」以外は坂本龍一のピアノが主となりAlva Notoのグリッチが副な印象があるが、「Berlin」はAlva Notoのノイズが先導しているようで、エモーショナルでありながらとても歯切れが良い。これ以外は「音楽」だと思うが、「Berlin」は「芸術」だと思う。芸術は決して人口に膾炙するものではない。
Carsten Nikolai名義での作品群もとても好きである。物理現象を忠実に抽出しかつ芸術に昇華している。