ジャニス・ジョプリンの最も売れたアルバムであり、議論の余地はあるが、最も成功したといえるアルバムが、デラックスになって2005年バージョンとして登場した。もう既に一度、4曲のライヴ曲を追加されてリリースされたものだが、今回はその4曲を2枚目のディスクに移し、9曲新しく(そのうち6曲は未発表もの)追加し、更にスタジオ録音のディスクにも6曲追加している。新しい9曲は、1971年の1月に、死後のリリースとして世に出されたアルバムに先立つ1970年の夏のツアーからのものだ。2枚のCDの中には、大して新鮮さを感じさせないものも入っている。3曲は、ただ収録のバージョンが違うだけだし、1曲にはジャニスの声のはいっていないバンドの演奏だけというのもある。プロデューサー、ポール A ロスチャイルドによるジャニスのファイナル・アルバムの為の正しい選曲という気負いはわかるが。とはいうものの、Pearlは、すごくいい。ジャニスの素晴らしいロックシーンを再現しているし、クリス・クリストファーソンのMe and Bobby McGeeのフォークでソウルフルなジャニスによる朗読も入っている。これはもともとのアルバムの一番のヒットだった曲である。今回のバージョンの醍醐味は、ジャニスと彼女のバンド、フル・ティルト・ブギーの最初で最後のツアーだったカナダでの13回のコンサートの録音収録だろう。前回のパールにも入っていた幾つかの曲も含めて、彼女のメジャーな曲をぼろぼろになりながらしかし精神をこめて歌いまくっている。彼女が生前に決めた順番に合わせて、いくつかのコンサートからの収録が継ぎ合わせてあり、ジョプリン最盛期の声が聞こえる。自分のバンドとともに楽しく、ハートからまっすぐ飛び出してくる彼女の声はブルースやR&Bのソウルをが激しくアタックし、驚くべき彼女の才能を彼女も十分に感じていることを感じさせる。