いったん手放して後悔していたR.E.M.の1stアルバム『Murmur』を、新しいSHM-CDになって発売されていたのを店頭で見て、衝動買いしてしまいました。
開けてみて、封入の日本語解説が、私が20年ほど前に買ったのとまったく同じで、「騙されたか?」と心配しましたが、聴いてみると細部まで丁寧に音が拾われている感じで、音質向上は間違いなくて安心しました。
この音盤のもつ瑞々しさと老成の奇妙な混淆の印象は変わりませんが、音質向上は私にとってはさらに繊細さと清々しさが加わって、買って(買い換えて)良かったと心底思いました。
「Laughing」や「Talk About Passion」、さらに「Perfect Circle」を聴き直していくうちに、押し付けがましさの一切ない美しさと優しさに、思わず陶然としてしまいます。アルバム全体としてまったく曲の出来栄えに過不足なく、R.E.M.というグループとしての感受性の率直な素晴らしさに、ただ感心するばかりです。
余白に収められたライブ演奏では、彼らの躍動感溢れる表現や、ちょっとひねくれた感性も楽しめます。(最初に聴いたときも、個人的にはPeter Gabriel作の「Red Rain」が引用されているのが驚きでした。)