ハリウッド・コンポーザーに邦画を担当させた珍しいパターンだが、映画本編を鑑賞してみるとイメージが合っていて納得の出来映え。作曲は「クリフハンガー」や「G.I. Jane」のスコアを担当したトレヴァー・ジョーンズ。
本編のストーリーが軍事サスペンスドラマということもあり、アクションスコアよりも、雰囲気を重視したスコアが多い。トレヴァー・ジョーンズの過去の作品では「13DAYS」や「ダークシティ」の印象に近いかも。
ただしメインテーマの印象は、それらの作品より幾分弱いのが難点だ。
メインテーマは、ゆったりしたフレーズが繰り返されながら盛り上げる構成。哀愁漂うフレーズが、形を変えながら何度も顔を出すのは、なかなか聴き応えがある。いそかぜ副長や、某国工作員の悲壮な覚悟が、よく表現されていると思う。ただし、先に述べたように印象が薄いのが残念。
アクションスコアの分量は少なめだ。ハープーンミサイル発射のシークエンスに、いつものトレジョン節が垣間見られるものの、いまいち盛り上がりに欠ける。いわゆる”燃える”スコアに期待すれば肩すかしを食らうだろう。
いろいろと書いたが、スケール感のあるスコアで高く評価できると思う。琴や尺八を吹き鳴らすような「時代錯誤の日本イメージ」で作曲されていない点も好印象を受けた。
近年の邦画にみられる、ジマー節をコピーしたような日本人作曲家のスコアよりも、本作品の方がよっぽど良い。