メディア掲載レビューほか
プロジェクト始動から約2年、ようやく完成した川瀬智子によるソロ・プロジェクトのファースト・アルバム。当初はゴシック&パンクなイメージが強調されていたが、本作のサウンド・プロダクツはかなり幅広く、自由度が高い。「2Bfree」は必聴!
-- 内容（「CDジャーナル」データベースより）
健康的でいて、実は病みを抱えているという設定の少女漫画的音楽キャラクター、Tommy february6を誕生させたthe brilliant greenの川瀬智子がその設定を反転させたTommy heavenly6としてステージに立ったのが2003年5月。それからスロー・ペースで2枚のシングルをリリースし、昨年5月の第2弾シングル「Hello my friend」のインタビューで、彼女はキャラクター誕生の背景として、自らのティーンエイジ・コンプレックスやアダルト・チルドレン的な側面を挙げ、ティム・バートン映画さながらの世界観を明らかにしていた。が、しかし、キャラクター誕生から2年越しで完成したファースト・アルバムで、彼女はまたしても、自分に、そして周囲に背を向けることとなった。時間をかけて慎重に積み上げてきた設定や周囲の期待や要望、そのすべてがもはやどうでもいいことだ、と、このアルバムは言っているのだ。あるのは圧倒的なカタルシスのみ。彼女のルーツである80年代のゴシックなUKギター・バンドやグランジを煮詰めに煮詰めたサウンドも、メロディの精度を高めること以外、これといった小細工もなく、直情的なバンド・サウンドを叩き付ける。タイミング的には世界的なニューウェイヴ・リヴァイバルとシンクロする楽曲があってもおかしくはなかったはずだが、彼女はただただ自傷的な世界からの解放をエモーショナルに歌う。その天の邪鬼な転身ぶりは川瀬智子らしくもあるし、込み入った設定をリセットするには絶好の機会であるが、それが演技なのか本心なのかは不明。ただし、お遊びにしては、込められた熱量が尋常ではないし、ラウドなバンド・サウンドと拮抗するヴォーカルもリミットまで高められていて、今様なゴシック・ロック・アルバムとしての完成度は相当なもの。それゆえに聴き手次第でいかようにも楽しめるアルバムと言えるのでは。個人的には原宿駅にたむろすゴシック少女たちの反応が気になりますが。 (小野田雄) --- 2005年09月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
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