IT BITESは紛れも無い"ロック・バンド"である。
"プログレッシヴ・ロック"と言うジャンルに分けられて語られる事が多いが、それは間違ってはいない。しかしプログレに対する偏見(プログレ好きの中にさえそれはある)が、IT BITESの評価を正当な所から遠ざけている部分もあるものの、これを書くとキリが無い。
取分けポップである事は、プログレッシヴである事とは相容れないと考える人もいる。もっともプログレの代表格と言える、YESやGENESISの70年代の名盤からして既にこの二つの融合の賜物であり、IT BITESは80年代のシーンにおいてこの融合に成功しているからこそ、プログレとしてもポップとしても高い完成度を誇るのだが。
早過ぎたバンド、と言う意見には賛成したい。DREAM THEATERが90年代初頭にセカンドアルバムで「プログレとHR/HMの融合に成功したバンド」と評され、今もその地位を揺るぎない物にしているが、「歴史に"たら・れば"は禁物」とは言えIT BITESが違うレコード会社と契約していたら・・・。
例えばアルバムの完成度やバンドの音楽性を知りもしない連中の手で、アルバムの曲順を入れ替えられたり、方向のズレたプロモーションが行われたりしなければ。
プログレッシヴで、ポップで、ハードロック。何れのファンをも満足させられる希有なバンド、それがIT BITESなのだ。
しかし私がどんな言葉を並べ立てた所で、実際に聴いてみなければ何も判らない。
そこで自分に取って良いバンドかどうかを判断するのに適切な材料の一つとして、ライヴがある。
実際に見られればベストなのだが、現役海外バンドでさえそう簡単には来日しないとあっては、本作の様な代表曲を網羅したライヴアルバムは最適だろう。
私は今回再発される四枚を、本作も含め海外盤で持っている。海外盤は例外に漏れず再発盤より安価なのだが、今回全て改めて買い直すつもりだ。