なんにもなく、なんにも残らない、横棒のような人生より、過酷な波瀾万丈であっても、山あり谷ありの人生の方が生きがいがあると思います。
まずは、そんなことを力説しているように伺えます。
かけがえのないもの、かけがえのないものに移っていくもの、それは、ひとつには家族愛であり、ひとつには母性愛であり、ひとつにはメンタルな恋愛感情であったりするということ。
それらは、からだを張って、守り抜くものであり、からだを張って、取り戻すものでもあるのです。
なにか知らないうちに、それらが生きがいの源になっている。
なにかを求めて、必死のパッチで、地に足をつけて、どろどろになっても、這いつくばって生きていく。
その生き様をうまく描ききっている作品です。
そのど根性の生き様模様は、決してダイレクトに迫る形ではなく、後方から見て感じ、全体像をうまく表現しています。