2005年録音のウエス・モンゴメリーに捧げたPat Martinoの作品。
全然、個性が違うミュージシャンだと個人的には思っていましたが、
大昔から互いに交流が深く、一緒にセッションをやったり、
新しく思いついた運指を教え合ったり、とか。
他のアルバムでもウエス自作曲、愛奏曲を取り上げていましたが、
ここでは、モロにウエスを意識した選曲になっています。
期待に反してガンガンかっ飛ばす演奏ではなく、落ち着いた調子です。
最初は物足りなく感じたのですが、何度も聴いていくうちに、
緻密、厳密にアドリブを構成していく、鬼気とした彼の気迫を感じさせられます。
冒頭のFour on six から最後のUnit7 まで、ややゆっくり目のテンポ、
Patの生真面目なフレーズを聴いていて、
連想したのがバッハの平均律クラービアでした。
どんどん展開していくが果てしのないアイデア、曲想が延々と続いていく、
派手さ、劇的な展開はないものの、何度聴いてもくみ尽くせない奥深さ、味わい、
私のような生半可な聴衆の予測しうる音世界を超えた地平を目指す、凄みがあります。
またRoad song ではノリノリの熱気とともに心の奥底からほとばしる素朴な愉悦も。
それら全てがPatのギターの魅力ではないでしょうか。
録音は確かに鮮明さに欠けますが、或いはPatの好みかもしれません。
ジャケット裏写真のPatの眼光、
鋭いです。