受取人不明 [DVD]
フォーマット | 色, ドルビー, ワイドスクリーン |
コントリビュータ | パン・ミンジョン, キム・ヨンミン, ヤン・ドングン, キム・ギドク |
言語 | 日本語, 韓国語 |
稼働時間 | 1 時間 59 分 |
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商品の説明
レビュー
4年前の東京フィルメックスで、『受取人不明』を見た時の衝撃は忘れ難い。それはキム・ギドクという未知の映画作家との最初の出会いでもあったが、彼の最新作『うつせみ』があまりにもスタイルとして洗練されてしまっているのを見るにつけ、荒ぶる魂がマグマのようにほとばしる、この初期の傑作が、妙にいとおしく感じられる。 『受取人不明』は、キム・ギドクの最も自伝的な作品である。1970年代の米軍が駐留する田園地帯。黒人兵との混血児を生み、帰国した夫に手紙を書き続ける女、失明した片目を手術するために米兵の愛人になる少女。このふたりのヒロインを中心に、アメリカと韓国のねじれきった相互依存の関係を、キム・ギドクは、あからさまな性的搾取のメタファーを通して炙り出していく。それは横須賀の米軍基地を舞台にした今村昌平の『豚と軍艦』を彷彿とさせるが、占領下の苦い記憶をあえて豪快に笑い飛ばした今村の重喜劇に対し、この映画は古傷をナイフでえぐり出すようなマゾヒスティックな痛みが全篇にゆきわたっている。冒頭、少女が、田舎道で犬の交尾を目撃する場面が印象的だ。惚け切った犬の表情を怯えと欲望がないまぜとなった眼差しで見つめる少女の肉体が、やがて“アメリカ”に翻弄されることによって、周囲の男たちは屈辱にまみれ、宿命のように避け難い悲劇が悪無間的に連鎖されることになるからだ。『受取人不明』は、プロパガンダすれすれの露骨な政治的なメッセージを発信する一方で、たとえば、少女が彼に思いを寄せる内気な青年に手術した眼をみせる野原の情景のように、染み透るように美しい詩的イメージが絶妙にバランスされ、切実で残酷な寓話の高みへと昇華されるのだ。なかでも粗暴な犬殺しを演じた『悪い男』のチョ・ジェヒョンが強烈な存在感を放っている。 (高崎俊夫) --- 2006年02月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
監督・脚本: キム・ギドク 撮影: ソ・ジョンミン 音楽: パク・ホジュン 出演: ヤン・ドングン/パン・ミンジョン/キム・ヨンミン/チョ・ジェヒョン/パン・ウンジン/ミョン・ゲナム/イ・イノク
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
登録情報
- アスペクト比 : 1.33:1
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : 日本語, 韓国語
- 梱包サイズ : 19.2 x 13.6 x 1.4 cm; 222.26 g
- EAN : 4988131903895
- 監督 : キム・ギドク
- メディア形式 : 色, ドルビー, ワイドスクリーン
- 時間 : 1 時間 59 分
- 発売日 : 2005/12/2
- 出演 : ヤン・ドングン, キム・ヨンミン, パン・ミンジョン
- 字幕: : 日本語, 韓国語
- 言語 : 韓国語 (Dolby Digital 2.0 Stereo), 日本語 (Dolby Digital 2.0 Stereo)
- 販売元 : エスピーオー
- ASIN : B000AYB2LC
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 210,784位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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キムギドク、名前を聞くだけで、胸がときめくのだ
しかし、このキム・ギドクという監督の描く暴力シーンにカタルシスや、演出効果は見ることが出来ない。
本作は70年代、朝鮮戦争の余韻が残る韓国の片田舎を舞台にした三人の若者の群像劇であるが、
全編を覆い尽くす重たさ、息苦しいまでの
閉塞感に耐えきれなくなってくる。
実際、キム・ギドク監督の自伝的内容であり、七割が実話という。
淡々と描かれていく、悲惨なまでの現実もさることながら、物語の端々に登場する犬の撲殺(実際の映像はない)シーンは心が痛くなる。
これは”犬を食べる”という食文化がある韓国ならではあるが、真のテーマは戦争であることに
異論はないだろう。
元々、貧しく、犬を食べる習慣がある韓国の農村であることに間違いないが、大きく影を落としているのは駐韓米軍基地があるという事実である。
駐在しているだけなので戦闘シーンこそないが、
何度もインサートされる戦闘機が空を飛ぶシーンがその象徴と言えよう。
戦争というものが落とした大きな影に翻弄されるしかない主人公達は笑うことは殆どなく、
心に歪な塊を抱えたまま、破滅へと突き進んでいく。
救いようがないぐらい重たい映画であるが、
幾つかのシーンで流れるエリックサティの旋律が、映像とマッチし、文学的な要素を醸し出している。
これは兵役を終え、フランスに渡り絵画を学んだキム・ギドク監督ならではの演出といったところか。
けっして隣国である韓国の話と割り切ることが出来ないのも事実である。
先の大戦で戦場となった後、未だに米軍基地駐在を余儀なくされている沖縄の現実を
描き切った作品が、日本には存在しないことが何を意味しているか、明らかであろう。
韓流ファンの方にも、キム監督作品だけは苦手な方も多いでしょう。
70年代の、米軍基地のある何処か地方の村が舞台です。
事故が原因で右目の視力を失った女子高生、
彼女を恋する青年、そして
駐韓米軍の兵士と、韓国人の母の間に産まれた混血児の三人が主役です。
物語はたいへんな悲劇で、
「春夏秋冬そして春」「サマリア」「悪い男」「魚と寝る女」「コーストガード」のどれよりも救いがありません。
なんとも呼吸が苦しくなるような展開が延々と続きます。
監督のインタビューによれば、70%が実話だそうです。
それが本当なら、心を病んでしまいそうです。
1970年代の米軍基地のある韓国の村が舞台で、いじめられている少年、片目の見えない少女、アメリカ人と韓国人のハーフの少年がもがき苦しむ群像劇。
寓話的なシンプルな世界の中に、エグさ満載の描写と展開で心をブチのめすキム・ギドク監督らしい世界観。
直接画面には映らないものの、犬を棒で殴ったりして犬肉を売ってる男とか、目を何かで刺したりなど、もう大人なのにこれからでもトラウマになりそうな映像が定期的に表れて、心が死んだ。
みんな可哀相だし救いがないし、地獄絵図です。
『サマリア』(2004年)、『うつせみ』(2004年)、『絶対の愛』(2006年)なんかは、心に響くものがあってとても好きなのだが、これはなんかもう観てて苦しかった。
キム・ギドク監督の作品は80分~90分くらいのが多い気がするのだが、今回は120分あって胃もたれしかのかもしれない。
しばらく、夢でうなされそうな後味でした。
「以前、俳優のアン・ソンギさんに自分の映画『サマリア』に出て欲しいと出演依頼をしたことがあったが、『いったい父親が娘をどうやって殺せるのか』と断られたことがあった。その時はただ残念に思っただけだったが、今考えてみると自分の映画観と思考に深刻な意識障害的な面があることを悟った」とし、「全員が隠したがる恥部をわざわざ誇張して表現した自分の映画を情けなく思う。美味しかった料理を、その後排泄物として出す際に、それを避けようとする人々の心情をまったく理解しないで映画を作ってきた。自分が本当に恥ずかしい」
しかし、ギドク作品、特にこの『受取人不明』を観た私は思う。「だからいいんだよ!!」
そして、ギドクさん、「でも、「やるんだよ!!」
この映画は最高です!!!