このカルトとしか分類できない狂気が滴る映画が、ピカピカ画質になって再販されるのは本当に嬉しい。昔出ていたソフトとは画質に雲泥の差があります。しかしそれでも80年代初頭のフィルム映画ですから、ブルーレイとDVDでそんなにピカピカ度が違ってくるとも思えないところですが、ブルーレイには特典映像がついてきますからこれを目当てに価格50%アップの方を思い切って選んだ人も多いのではないでしょうか?私なんてほぼ清水の舞台からジャンプする位に思い切りましたが・・・・。
しかし、“マーク・カーモード(映画批評家)による短編映像”とか紹介されていると、短編映画なみのクオリティの蔵出し映像でもあるのかと思ってしまいますが、これ本当にただのドキュメンタリー。未公開シーンもまぁ観ておいて損はないですけれど、ギリッギリのバランスでようやく成り立っているような映画ですから、やはり削除シーンは余分ですし、これは画質が本当にひどいので何度も観るようなものでもありません。私はブルーレイを奮発して失敗した~と、この差額で廉価版のソフトが1枚買えてしまうとちょっと後悔・・・。ただ、この映画には18のディレクターズカットが存在するという話から始まるオーディオコメンタリーはなかなか面白く、2度目の鑑賞にはコメンタリーの翻訳字幕だけ流しながらという楽しみ方ができます。(ちなみにコメンタリーで主題歌にもふれられていてDENNY BROOKS のSAN ANTONEはほかの映画の主題歌だったとありますが、これ”ローリングサンダー”のことでしょうね)
そしてやはりこの画質でこの映画を観れたことには大満足。前半では“キャッチ22”みたいな戦争ブラックコメディでオフビートな雰囲気すら醸し出していたかと思うと、それが後半で皮が剥けるみたいにペロリと、中から暴力と狂気の世界が一気に剥き出しなってくるすごさ。エンディングも含め宗教観がないとちょっとわかりづらいところはあるのですが、そういうところも含め怪しげでカルトな雰囲気がムンムンに漂う怪作です。