ノミ・ソング [DVD]
¥12,000 ¥12,000 税込
フォーマット | ドルビー |
コントリビュータ | アンドリュー・ホーン, アン・マグナソン, クラウス・ノミ, デヴィッド・ボウイ, マーティン・シーン |
稼働時間 | 1 時間 36 分 |
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商品の説明
レビュー
昨今リバイバルがはげしいが、80年代初頭のニューウェイヴといえば、ずばり“ハッタリ”である。一見変なものほど逆に人気を得る。くわえて、当時は1930年代のヨーロピアン・モダンアートが流行していた。これらの要素を合わせると実に“クラウス・ノミ”が出来上がる。のちにマドンナも輩出する、NYアンダーグラウンドを背景としたこのカルト・スターは、メジャーになる前にあっけなく失敗し、エイズで死んだ最初の有名人、という不名誉な形で歴史にその名を刻んだ。そんな彼のドキュメンタリー映画がこれ。当然、生き残った友人たちの証言より、“動くクラウス・ノミ”の映像を観られるのが一番の醍醐味だ。チープな打ち込みロックに乗ってオペラ唱法をぶちかます、青臭く、手作り感あふれるいかがわしさを見よ。これは、虚構美が最高に格好良かった時代と寝て、そして殉じた男の、いわゆる“ニューウェイヴ版青春残酷物語”である。 (鷺沼晶良) --- 2006年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
監督: アンドリュー・ホーン 出演: クラウス・ノミ/デヴィッド・ボウイ/マーティン・シーン/ケニー・シャーフ/アン・マグナソン
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 梱包サイズ : 19 x 13.6 x 1.6 cm; 81.65 g
- EAN : 4988064224524
- 監督 : アンドリュー・ホーン
- メディア形式 : ドルビー
- 時間 : 1 時間 36 分
- 発売日 : 2005/11/16
- 出演 : クラウス・ノミ, デヴィッド・ボウイ, マーティン・シーン, アン・マグナソン
- 字幕: : 日本語
- 販売元 : エイベックス・ピクチャーズ
- ASIN : B000BB6GKQ
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 134,668位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 1,069位外国のドキュメンタリー映画
- - 12,991位外国のドラマ映画
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.5つ
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イメージ付きのレビュー
5 星
百花繚乱だったポスト・パンク、その中でも超個性派のドキュメンタリー
「不思議そうな人だなあ」と、つい輸入盤店で1stアルバム(1981年)をジャケ買い。 それなりに楽しめたが、本格的にのめり込んだのは、同年リリースの2枚組オムニバス『Urgh! A Music War, 1981』における「Total Eclipse」のライヴ・ヴァージョン。 オリジナルが丁寧に創られ過ぎているせいもあり、荒々しくて比較にならないド迫力。 ポピュラー・ミュージックの歌手が裏声で歌うのは何故かあまり好きではないが、ノミは元々クラシックを志し、ベルリンの音楽学校で学んだ経験もあるから、力強いファルセットを聴かせてくれる。 という訳で、本当は単独ライヴ映像を最初から最後までガッツリ観たかったところだが、そういった記録を収めたフィルムやヴィデオは残っていないのだろうと思われる。 それにしても、要所に挿入されるステージ・アクトはチープではあるものの、如何にもニュー・ウェイヴ、ポスト・パンク時代のアイコンたる風変わりな表現者による、異端とも言える特殊なパフォーマンス。 菓子作りが趣味で友人知人のためにも精を出していた有名なエピソードも組み込まれ、女子力が高かったのだね。 各人が話す小さなエピソードもファンには嬉しく、こんなに優しくて、ナイーヴで、傷付き易い人だったんだ。 AIDSの感染状況やその症状を報道するテレビのニュース番組を観て、「同じだ、僕と同じだ!」とパニックになったことが語られるシーンは、とても痛ましくて切ない。 ラストはまるでAIDSウィルスに感染し、発症して身罷ることを、宿命として背負わされたスケープゴートたる自らに捧げる鎮魂歌、葬送行進曲みたいに聴こえる。 あまりにも予定調和的であり、あまりにも数奇な運命で、歳のせいか、不覚にも涙ぐみそうになってしまった……情けねえなあ。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年6月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
活躍期間が短い為、媒体への露出が少なく、ファンとしてこのDVDは有難いです。
2015年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ノミが不幸な亡くなり方をしたことは知っていたが、まさかこの宇宙人に泣かされるとは思わなかった。こんな澄んだ瞳の持ち主が地球で巧くやっていける訳はなかったのだ…。
2020年9月18日に日本でレビュー済み
「不思議そうな人だなあ」と、つい輸入盤店で1stアルバム(1981年)をジャケ買い。
それなりに楽しめたが、本格的にのめり込んだのは、同年リリースの2枚組オムニバス『Urgh! A Music War, 1981』における「Total Eclipse」のライヴ・ヴァージョン。
オリジナルが丁寧に創られ過ぎているせいもあり、荒々しくて比較にならないド迫力。
ポピュラー・ミュージックの歌手が裏声で歌うのは何故かあまり好きではないが、ノミは元々クラシックを志し、ベルリンの音楽学校で学んだ経験もあるから、力強いファルセットを聴かせてくれる。
という訳で、本当は単独ライヴ映像を最初から最後までガッツリ観たかったところだが、そういった記録を収めたフィルムやヴィデオは残っていないのだろうと思われる。
それにしても、要所に挿入されるステージ・アクトはチープではあるものの、如何にもニュー・ウェイヴ、ポスト・パンク時代のアイコンたる風変わりな表現者による、異端とも言える特殊なパフォーマンス。
菓子作りが趣味で友人知人のためにも精を出していた有名なエピソードも組み込まれ、女子力が高かったのだね。
各人が話す小さなエピソードもファンには嬉しく、こんなに優しくて、ナイーヴで、傷付き易い人だったんだ。
AIDSの感染状況やその症状を報道するテレビのニュース番組を観て、「同じだ、僕と同じだ!」とパニックになったことが語られるシーンは、とても痛ましくて切ない。
ラストはまるでAIDSウィルスに感染し、発症して身罷ることを、宿命として背負わされたスケープゴートたる自らに捧げる鎮魂歌、葬送行進曲みたいに聴こえる。
あまりにも予定調和的であり、あまりにも数奇な運命で、歳のせいか、不覚にも涙ぐみそうになってしまった……情けねえなあ。
それなりに楽しめたが、本格的にのめり込んだのは、同年リリースの2枚組オムニバス『Urgh! A Music War, 1981』における「Total Eclipse」のライヴ・ヴァージョン。
オリジナルが丁寧に創られ過ぎているせいもあり、荒々しくて比較にならないド迫力。
ポピュラー・ミュージックの歌手が裏声で歌うのは何故かあまり好きではないが、ノミは元々クラシックを志し、ベルリンの音楽学校で学んだ経験もあるから、力強いファルセットを聴かせてくれる。
という訳で、本当は単独ライヴ映像を最初から最後までガッツリ観たかったところだが、そういった記録を収めたフィルムやヴィデオは残っていないのだろうと思われる。
それにしても、要所に挿入されるステージ・アクトはチープではあるものの、如何にもニュー・ウェイヴ、ポスト・パンク時代のアイコンたる風変わりな表現者による、異端とも言える特殊なパフォーマンス。
菓子作りが趣味で友人知人のためにも精を出していた有名なエピソードも組み込まれ、女子力が高かったのだね。
各人が話す小さなエピソードもファンには嬉しく、こんなに優しくて、ナイーヴで、傷付き易い人だったんだ。
AIDSの感染状況やその症状を報道するテレビのニュース番組を観て、「同じだ、僕と同じだ!」とパニックになったことが語られるシーンは、とても痛ましくて切ない。
ラストはまるでAIDSウィルスに感染し、発症して身罷ることを、宿命として背負わされたスケープゴートたる自らに捧げる鎮魂歌、葬送行進曲みたいに聴こえる。
あまりにも予定調和的であり、あまりにも数奇な運命で、歳のせいか、不覚にも涙ぐみそうになってしまった……情けねえなあ。
「不思議そうな人だなあ」と、つい輸入盤店で1stアルバム(1981年)をジャケ買い。
それなりに楽しめたが、本格的にのめり込んだのは、同年リリースの2枚組オムニバス『Urgh! A Music War, 1981』における「Total Eclipse」のライヴ・ヴァージョン。
オリジナルが丁寧に創られ過ぎているせいもあり、荒々しくて比較にならないド迫力。
ポピュラー・ミュージックの歌手が裏声で歌うのは何故かあまり好きではないが、ノミは元々クラシックを志し、ベルリンの音楽学校で学んだ経験もあるから、力強いファルセットを聴かせてくれる。
という訳で、本当は単独ライヴ映像を最初から最後までガッツリ観たかったところだが、そういった記録を収めたフィルムやヴィデオは残っていないのだろうと思われる。
それにしても、要所に挿入されるステージ・アクトはチープではあるものの、如何にもニュー・ウェイヴ、ポスト・パンク時代のアイコンたる風変わりな表現者による、異端とも言える特殊なパフォーマンス。
菓子作りが趣味で友人知人のためにも精を出していた有名なエピソードも組み込まれ、女子力が高かったのだね。
各人が話す小さなエピソードもファンには嬉しく、こんなに優しくて、ナイーヴで、傷付き易い人だったんだ。
AIDSの感染状況やその症状を報道するテレビのニュース番組を観て、「同じだ、僕と同じだ!」とパニックになったことが語られるシーンは、とても痛ましくて切ない。
ラストはまるでAIDSウィルスに感染し、発症して身罷ることを、宿命として背負わされたスケープゴートたる自らに捧げる鎮魂歌、葬送行進曲みたいに聴こえる。
あまりにも予定調和的であり、あまりにも数奇な運命で、歳のせいか、不覚にも涙ぐみそうになってしまった……情けねえなあ。
それなりに楽しめたが、本格的にのめり込んだのは、同年リリースの2枚組オムニバス『Urgh! A Music War, 1981』における「Total Eclipse」のライヴ・ヴァージョン。
オリジナルが丁寧に創られ過ぎているせいもあり、荒々しくて比較にならないド迫力。
ポピュラー・ミュージックの歌手が裏声で歌うのは何故かあまり好きではないが、ノミは元々クラシックを志し、ベルリンの音楽学校で学んだ経験もあるから、力強いファルセットを聴かせてくれる。
という訳で、本当は単独ライヴ映像を最初から最後までガッツリ観たかったところだが、そういった記録を収めたフィルムやヴィデオは残っていないのだろうと思われる。
それにしても、要所に挿入されるステージ・アクトはチープではあるものの、如何にもニュー・ウェイヴ、ポスト・パンク時代のアイコンたる風変わりな表現者による、異端とも言える特殊なパフォーマンス。
菓子作りが趣味で友人知人のためにも精を出していた有名なエピソードも組み込まれ、女子力が高かったのだね。
各人が話す小さなエピソードもファンには嬉しく、こんなに優しくて、ナイーヴで、傷付き易い人だったんだ。
AIDSの感染状況やその症状を報道するテレビのニュース番組を観て、「同じだ、僕と同じだ!」とパニックになったことが語られるシーンは、とても痛ましくて切ない。
ラストはまるでAIDSウィルスに感染し、発症して身罷ることを、宿命として背負わされたスケープゴートたる自らに捧げる鎮魂歌、葬送行進曲みたいに聴こえる。
あまりにも予定調和的であり、あまりにも数奇な運命で、歳のせいか、不覚にも涙ぐみそうになってしまった……情けねえなあ。
このレビューの画像
2011年3月18日に日本でレビュー済み
貴重なノミの映像もちょこちょこ有るのですが他の方がレビューされてる様に
本人自身の語り、インタビュー映像が少なすぎます。
彼に関わったプロデューサー、友人、、周りの人が思い出の様に語っているのがほとんど全てです。
映像も今見るとyoutubeで出回っている物が多いです。
活動期間が短く短命で命を絶たれた人故にしょうがないと言えばしょうがない作りなのですが、、。
どうせなら一緒に競演したデビット'ボウイや今も生きていてノミの最後を看取ったジョーイ'アリアスの
インタビューを映画に入れるべきではないのか?と思う。
彼のファンとしてはとても残念な作りでした。
本人自身の語り、インタビュー映像が少なすぎます。
彼に関わったプロデューサー、友人、、周りの人が思い出の様に語っているのがほとんど全てです。
映像も今見るとyoutubeで出回っている物が多いです。
活動期間が短く短命で命を絶たれた人故にしょうがないと言えばしょうがない作りなのですが、、。
どうせなら一緒に競演したデビット'ボウイや今も生きていてノミの最後を看取ったジョーイ'アリアスの
インタビューを映画に入れるべきではないのか?と思う。
彼のファンとしてはとても残念な作りでした。
2005年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
米国盤と内容が微妙に違うので、お好きな方は両方ゲットすべし!
おまけのアンディ・シュワルツのインタビューがなかなかよかったです
(80年代当時の事が語られてます)
予告編は「日本版」の方が若干繊細なつくりになってます。
日本人の細やかな心を垣間見た気がしました。
おまけのアンディ・シュワルツのインタビューがなかなかよかったです
(80年代当時の事が語られてます)
予告編は「日本版」の方が若干繊細なつくりになってます。
日本人の細やかな心を垣間見た気がしました。
2012年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず最初に、この人のことをキワモノとしてしか思ってなかったことを断っておかなくてはなりません。なので、ここでその歌声を聴き、そのパフォーマンスを見て、驚愕して衝撃を受けました。己の不明を恥じます。
Elvis PresleyとMaria Callasに憧れて、ロックとオペラを融合した音楽を目指したというこの特異なアーティストの実像に触れられて素直に嬉しかったですが、出来れば生で観てみたかったと思わせる真に画期的なアーティストだと思いました。ジム・トンプスンが「安雑貨屋のドストエフスキー」だとすればこの人はさしずめ「場末のクラブで歌う宇宙からきたマリア・カラス」といったところだと感じました。その風貌もさることながら、やはり一番の衝撃はその美声でした。これほどの声を持っていながら本職のオペラ歌手にならず、NYのクラブで前衛パフォーマンスをしていたという・・・もうちょっと長生きしていたら世界的に著名なアーティストとして名声を築いていたであろうことを思うと残念でなりません。
なかでもハイライトはBowieとの共演でしょう。もともとBowieという人は新しい音楽に敏感でPere UbuやDevoなども見つけたらすぐ接近したという人だったのでこの人にもすぐ才能を見抜いて接近したのでしょうね。David Byrneがこの頃のNew Waveシーンについて語っているインタビューを以前読みましたが、混沌として活気に満ちていたとのことで、その中の頂点であり異端だったのがこの人だったのだろと思いました。全カタログ、ダウンロード出来たらしたいと思います。一人でも多くの人がこの人の才能に触れられることを願います。
Elvis PresleyとMaria Callasに憧れて、ロックとオペラを融合した音楽を目指したというこの特異なアーティストの実像に触れられて素直に嬉しかったですが、出来れば生で観てみたかったと思わせる真に画期的なアーティストだと思いました。ジム・トンプスンが「安雑貨屋のドストエフスキー」だとすればこの人はさしずめ「場末のクラブで歌う宇宙からきたマリア・カラス」といったところだと感じました。その風貌もさることながら、やはり一番の衝撃はその美声でした。これほどの声を持っていながら本職のオペラ歌手にならず、NYのクラブで前衛パフォーマンスをしていたという・・・もうちょっと長生きしていたら世界的に著名なアーティストとして名声を築いていたであろうことを思うと残念でなりません。
なかでもハイライトはBowieとの共演でしょう。もともとBowieという人は新しい音楽に敏感でPere UbuやDevoなども見つけたらすぐ接近したという人だったのでこの人にもすぐ才能を見抜いて接近したのでしょうね。David Byrneがこの頃のNew Waveシーンについて語っているインタビューを以前読みましたが、混沌として活気に満ちていたとのことで、その中の頂点であり異端だったのがこの人だったのだろと思いました。全カタログ、ダウンロード出来たらしたいと思います。一人でも多くの人がこの人の才能に触れられることを願います。
2006年1月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全く期待せずに、ただ往年のスネークマンショーで育った一人として観た。が、感激。。。誰に薦めればいいのか分からないが、誰でもいいから観てほしい。
ノミ本人の映像は決して多くは無い。しかし、(おそらく監督の意図的に素材映像を選んだのだろうが)普段のノミがいつもサングラスをかけていて、メイクアップするときにだけ彼は目を見せている、その目の美しさに驚く。ピーター・ガブリエル、フィッシュマンズの佐藤の目と同じ輝きを見てとることができる。
生前の関係者たちのインタビューがまた妙に生々しい。ノミが「ゲイの癌」というとんでもない誤解をされていたエイズに侵されたとき、彼らの誰もがノミのもとを去ったことを隠さずに証言していることが静かなショックを積み重ねていく。誰も泣いてはいないが、「ノミのレコードを聴くことが出来ない」という証言にその涙を聞いてとることも出来る。本編最後に現れる映画の台詞「僕たちは出会うのが早すぎたのだ。でも、きっとそれはまた戻ってくるだろう」という一節が一層の感激を呼ぶ。日本でノミを支持し続けていたスネークマンショーの桑原茂一たちの証言がないのが残念ではあるが。
証言集として感動して、特典映像を観ればフルレングスであの名曲「ザ・コールド・ソング」をオーケストラを従えて唄うノミの姿。その何と儚げなことか!この映像だけでも観る価値、買う価値がある。ほとんど一般的に知られていなかった「カウンターテナー」を唄う奇天烈な男が、クラシックから黙殺され、ニューウエイヴから愛され、最後にクラシックとニューウエイヴの壁を破壊し、その壁の瓦礫の下で一人で死んでいった。その後、エイズは世界に広まり、少なからぬ誤解も解けた(もちろん全ての誤解が解けたわけではないにせよ)。音楽の壁も壊れた(全ての音楽の壁ではないにせよ)。もし、ノミがいなかったら、しかし、誤解を解くべききっかけも、壁を壊す力も産みだされなかったかもしれない。
「どうか私が再び死に至るほど凍っていくのを許してほしい」〜The Cold Song
ノミ本人の映像は決して多くは無い。しかし、(おそらく監督の意図的に素材映像を選んだのだろうが)普段のノミがいつもサングラスをかけていて、メイクアップするときにだけ彼は目を見せている、その目の美しさに驚く。ピーター・ガブリエル、フィッシュマンズの佐藤の目と同じ輝きを見てとることができる。
生前の関係者たちのインタビューがまた妙に生々しい。ノミが「ゲイの癌」というとんでもない誤解をされていたエイズに侵されたとき、彼らの誰もがノミのもとを去ったことを隠さずに証言していることが静かなショックを積み重ねていく。誰も泣いてはいないが、「ノミのレコードを聴くことが出来ない」という証言にその涙を聞いてとることも出来る。本編最後に現れる映画の台詞「僕たちは出会うのが早すぎたのだ。でも、きっとそれはまた戻ってくるだろう」という一節が一層の感激を呼ぶ。日本でノミを支持し続けていたスネークマンショーの桑原茂一たちの証言がないのが残念ではあるが。
証言集として感動して、特典映像を観ればフルレングスであの名曲「ザ・コールド・ソング」をオーケストラを従えて唄うノミの姿。その何と儚げなことか!この映像だけでも観る価値、買う価値がある。ほとんど一般的に知られていなかった「カウンターテナー」を唄う奇天烈な男が、クラシックから黙殺され、ニューウエイヴから愛され、最後にクラシックとニューウエイヴの壁を破壊し、その壁の瓦礫の下で一人で死んでいった。その後、エイズは世界に広まり、少なからぬ誤解も解けた(もちろん全ての誤解が解けたわけではないにせよ)。音楽の壁も壊れた(全ての音楽の壁ではないにせよ)。もし、ノミがいなかったら、しかし、誤解を解くべききっかけも、壁を壊す力も産みだされなかったかもしれない。
「どうか私が再び死に至るほど凍っていくのを許してほしい」〜The Cold Song
2005年11月19日に日本でレビュー済み
オペラとロックの融合を試みた、カウンターテナーの歌声を持つ歌姫(ディーヴァ)。
ニューヨークのニューウェイブ・アンダーグラウンドシーンに咲いた、時代の徒花。
だが、80年代ニューウェイブの寵児になり得なかった……エイズで初めて死んだ著名人。
これは、そんな稀代のアーティスト(彼にはこの言葉がしっくり来る)、クラウス・ノミに関するフィルムです。
果たして、観る前に抱いていた「結局、クラウス・ノミという男は何だったのか?」という疑問に対して、何の回答もありませんでした。
むしろ、その「結局何なの?」という部分こそがクラウス・ノミをクラウス・ノミたらしめているのだと再認識するに至るのです。
クラウス・ノミに関わった様々な人々の証言から浮かび上がって来たその姿は、「奇人」「目立ちたがり」「ゲイ」「衝撃の歌声」といった単純な概念で括られるようなものではありませんでした。
誰とも相容れない感性を持った彼は常に孤高の存在であり、その本心を見抜いていた人はいなかったのです。
それ故に、彼の行動は奇異なものであり、その発言はユニークでした。
ヨーロッパで売り出し世界へ打って出ようとという時に、彼はそれまで自分を支えてきたスタッフを切り離してしまいます。
何が彼をそうさせたのか、その真意は分かりません。
だが、彼が「歌を歌うことに情熱を燃やしていた」ことだけは確かです。
数々の謎を残したまま、歴史の波間へ消えていった稀代のアーティスト、クラウス・ノミ。
冒頭とエンディングで引用されていた53年のSF映画『イット・ケイム・フロム・アウタースペース』ではありませんが、彼は本当に我々の知らない次元からやってきた「宇宙人」だったのかも知れません。
見終わった後、そんな奇妙な感覚を覚えました。
ニューヨークのニューウェイブ・アンダーグラウンドシーンに咲いた、時代の徒花。
だが、80年代ニューウェイブの寵児になり得なかった……エイズで初めて死んだ著名人。
これは、そんな稀代のアーティスト(彼にはこの言葉がしっくり来る)、クラウス・ノミに関するフィルムです。
果たして、観る前に抱いていた「結局、クラウス・ノミという男は何だったのか?」という疑問に対して、何の回答もありませんでした。
むしろ、その「結局何なの?」という部分こそがクラウス・ノミをクラウス・ノミたらしめているのだと再認識するに至るのです。
クラウス・ノミに関わった様々な人々の証言から浮かび上がって来たその姿は、「奇人」「目立ちたがり」「ゲイ」「衝撃の歌声」といった単純な概念で括られるようなものではありませんでした。
誰とも相容れない感性を持った彼は常に孤高の存在であり、その本心を見抜いていた人はいなかったのです。
それ故に、彼の行動は奇異なものであり、その発言はユニークでした。
ヨーロッパで売り出し世界へ打って出ようとという時に、彼はそれまで自分を支えてきたスタッフを切り離してしまいます。
何が彼をそうさせたのか、その真意は分かりません。
だが、彼が「歌を歌うことに情熱を燃やしていた」ことだけは確かです。
数々の謎を残したまま、歴史の波間へ消えていった稀代のアーティスト、クラウス・ノミ。
冒頭とエンディングで引用されていた53年のSF映画『イット・ケイム・フロム・アウタースペース』ではありませんが、彼は本当に我々の知らない次元からやってきた「宇宙人」だったのかも知れません。
見終わった後、そんな奇妙な感覚を覚えました。