野性味あふれる金管楽器群のパワフルな咆哮、パーカッシヴなリズムの躍動感など、フィリップ・スパークの『宇宙の音楽』の演奏が、圧倒的な素晴らしさ。宇宙のはじまりから果てなき未踏の領域へと進化している大宇宙のパノラマが、17分半ほどのこの吹奏楽曲の中に凝縮されていて、聴いていてわくわくしました。
「t=0」「ビッグバン」「孤独な惑星」「小惑星帯と流星群」「宇宙の音楽」「ハルモニア」「未知」と名づけられた音楽が、連続して演奏されていくスリリングな面白さ。ストラヴィンスキーの『春の祭典』や、ヴォーン・ウィリアムズの『海の交響曲』『ロンドン交響曲』といった近代の名曲に通じる雰囲気もよかったし、エンディングの「未知」の音楽の高速の推進力がむちゃくちゃかっこよくて、しびれました。
ほかの収録曲がいまいちだったので、余計に、スパークの『宇宙の音楽』の見事さが際立っている、そんな気がしましたね。実力は折り紙つきの大阪市音楽団の、隅々までぴしっ!と気合の入った演奏も凄かったなあ。
2005年6月3日、大阪の「ザ・シンフォニー・ホール」でのライヴ録音。世界初演となった『宇宙の音楽』の作品、演奏、ともに桁外れに素晴らしかったので、星は五つ。