フツーに考えれば、ハッキリ言って青年トメクのやってる事は、身勝手なストーカー以外の何者でもないです。望遠鏡を盗んで、向かい合わせのアパートに住むマグダをずっと覗き見るわ、嘘の通知で自分が勤める郵便局に来させる等々、好き勝手し放題です。マグダを覗くようになったのも、おそらく彼女の美貌に魅せられただけでしかないと思います。
ですが、泣きじゃくるマグダを心配していた「思いやり」の情は本物だったと思います。そして理由はどうであれ、恋の病に囚われてしまった人間は、どうしようもなく壊れてしまう事があるが、それが時として人の心を揺さぶる事もある。
恋とか愛なんて、単純に綺麗とか汚いで片付けられるものじゃない。何とも複雑で、不可解なものだと思い知らされる作品でした。