オケの鳴り方が、ハンパではない。フィルハーモニア管が、ベルリンフィルのように低音から、しっかりと鳴っている。これだけでも、異常なこと!!こんな立派なフォルテの響きを聴いたのはいつ以来だろうか・・?
解釈が、本当に良く考えられている。テンポがちょっとゆったり過ぎる所はあるが、盛り上げる所、追い込むべき所ではしっかり迫力を出しているので、ストレスはたまらない。厚ぼったく鳴らしているだけではなく、各楽器の楽想が、いつの間にか耳に入ってくる。彼が、この曲をどう捉えているのかがよくわかるし、色々と考えさせられるヒントを含んでいるので、聴いていて面白く、聴き終わった後の充実感も充分、繰り返し聴きたくなる演奏である。
録音は、おそらくDGの総力を挙げてのベスト録音。これも、最近無かった入れ込み様だ。いかにこの指揮者に期待しているかがわかる。低音がしっかりして、適度な残響。戦後60年だけを取っても、本当にいい録音ができるようになったと感慨を持たざるを得ない。もし、ティーレマンがミニ・フルトヴェングラーだとしても、現代の録音の良さがあるので、古いモノラル録音よりこちらの方がいい!と思って何ら不思議はない。
つまり、懐古趣味のようでいて、新しい解釈。考え抜いた末、本当に自分で納得した上での自信を持った演奏。同じオケを振ったザンデルリンク盤は完全に過去の演奏となった。
恐ろしい才能の、本格的な指揮者の待望の登場だ。