現代版「オリエント急行殺人事件」ということで、どうアレンジされているか気になり購入。
携帯やノートパソコン、スタイラスペンが小道具として登場してきて、無理なく物語に溶け込んでいました。
多少の矛盾はあるものの、かなり頑張って現代に置き換えていたと思います。
ポワロが小男でないのもご愛嬌。
オリエント急行は原作当時と違い、現在はセレブな人たちの娯楽用列車。
乗客それぞれに理由をつけなければならず、そこに尺を取られてしまうのは仕方がないこと。
原作のセレブじゃない人たちもバッサリ切られていました。
まぁ、改変に「なるほど」と頷くのも、「無理があるな〜」と苦笑いするのも、現代版ならではの楽しみ方かと。
残念ながら、最後の謎解きは名作に全く及ばず、むしろ改悪といえるもの。
原作の緻密なアリバイはかなり陳腐なものに変わってしまっていました。
ところが、最後のポワロの質問で思わずハッとしてしまいました。
この作品は豪華な列車の旅に注目されがちですが、当時も今も「現代」の問題を取り上げたもの。
古き良き時代を懐かしむあまり、忘れていたその問題に気づかせてくれたという点において、
「オリエント急行殺人事件」を現代に置き換える意味があったのだ。
・・・と思いたい。
(監督や脚本家がどこまで狙っていたのか分からないエンディングだったため)