華氏451 [DVD]
仕様 | 価格 | 新品 | 中古品 |
フォーマット | ドルビー, 色, ワイドスクリーン |
コントリビュータ | シリル・キューザック, オスカー・ウェルナー, ジュリー・クリスティ, フランソワ・トリュフォー |
言語 | 英語, 日本語 |
稼働時間 | 1 時間 52 分 |
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登録情報
- アスペクト比 : 1.78:1
- 言語 : 英語, 日本語
- 梱包サイズ : 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
- EAN : 4580120518686
- 監督 : フランソワ・トリュフォー
- メディア形式 : ドルビー, 色, ワイドスクリーン
- 時間 : 1 時間 52 分
- 発売日 : 2006/4/19
- 出演 : オスカー・ウェルナー, ジュリー・クリスティ, シリル・キューザック
- 字幕: : 英語, 日本語
- 言語 : 日本語 (Dolby Digital 2.0 Stereo), 英語 (Dolby Digital 2.0 Stereo)
- 販売元 : ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- ASIN : B000E6GAZY
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 15,961位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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イメージ付きのレビュー
5 星
この映画を愛する。
素晴らしい。打たれる。私は書物を愛するようにこの映画を愛する。本を所持すること、読むことが禁止される世界。見つけられた本はfiremanにより焼却される社会。SFときき、高度な近未来世界を想像すると面食らうと思う。2015年から見ればパラレル・ワールドというか、歴史上のどこかで角をまがりそこねてたどり着いたこうなっていたかも知れない現代という感じ。いきなりの斬新なアイデアによるタイトルバックに唖然。文字が使われない社会を逆手にとった皮肉。その色使い。今のハリウッドならすべてを映し、すべてを説明し、迫害される少数派、主人公はそれに抗うヒーローとなるが、トリュフォー監督はそんな手法は使わない。社会の全体像や統制システム描写はない(『1984』のBig brother的存在はない)。ある郊外のミニマムな範囲で映画は進む。牧歌的ですらある。あるレビュアーさまのご指摘のように寓話的。詩情がある。つ監督が尊敬するヒッチコック作品のようなタッチも時に感じられる。作品をジャンル分けするのはあまり意味はないが、あえていうなら、マイノリティを巡る美しき寓話的スリラーといってよいかと思う。本作は主人公2人(firemanのモンターグと謎めいた隣人のクラリス)の内心の変化・理由を丁寧には展開しない。トリュフォーが「人間を描くことができなかった」というのはそういうことなのかも知れない。しかし狙った結果とは別に、それを超える厳粛な美しさがありる。ハッとさせられるイメージがある。全体的に静謐でひんやりとした空気に包まれていて。竜の舌のような禍々しく噴き出す焔。断末魔の叫びすらあげず無力に燃え上がる書物・活字。滑稽だが、緑の中をひた走る赤が美しいfire car。モノレール・・。そしておばさんのシーンはショッキングだが気高さすら漂う。焚書の歴史には触れないが、ここで「書物」が象徴しているものは何か。それは疑問を持ち、思索し、対話し、奔放なイマジネーションを楽しむことではないか。叡智の承継。書物がない世界は、過去を振り返らず伝承しない世界。感情の高揚を認めない、疑問・憧憬を持たせない社会。ここでは個々の書物の出来不出来や内容が重要ではなく、一方向の情報を無批判に受け入れる怠惰(TVモニターとアンテナがその比喩)への批判なのではないか。自戒。しかしなによりも後半の「本の人々(Book People)」の描写に揺さぶられた。このコミュニティの描写は類を見ない静かな力強さと儚さに満ちていて、私に忘れがたい印象を残す。ここに至って本シーンは一気に歴代映画の私のベスト・シーンの一つとなった。以下、★まで核心に触れています。広大で寂しげな林のさらに奥、廃線の鉄路。書物に魅せられた者が、自ら選んだ書物を一字一句頭に記憶し再びいつか印刷される日を待つ・・。1冊また1冊。来る日も来る日も覚えては焼き、また覚える。「荒野に叫ぶ少数の異端分子」たち。モンターグが暗記するのはエドガー・アラン・ポーの「怪奇と幻想の物語」。人が「本」になり、コミュニティが「図書館」となる。池のほとりのテントの床で少年に口授する老人。テントの外は雪。少年も年老いてまた明日の少年に書物を伝えるだろう。舞い散る雪の中、本を口ずさみながら林を行きかう人々。そこに現れる本作で初めての「文字」。The End. ★最後に、撮影のニコラス・ローグ(後に監督となり『美しき冒険旅行』『赤い影』『ジェラシー』など)とバーナード・ハーマン(ヒッチコック、デ・パルマ作品で知られる。他に『タクシー・ドライバー』『恐怖の岬』など)の2人に最大級の賛辞を送えう。時に軽妙に、時にヒッコック作品ばりに謎めいて、ラストでは静謐なハーマンのサウンド・マジックに完敗。新世界への誘惑に抗えないモンターグに扮するのはオスカー・ウェルナー(『突然炎のごとく』『寒い国から帰ったスパイ』)。謎の女性を演じるのはジュリー・クリスティ(ここではモンターグをBook Peopleに誘う女性と空虚な妻の2役。『ダーリング』『ドクトル・ジバゴ』『赤い影』など)が凛とした美しさを見せている。焼却される本たちにも注目。あの本この本が出てくる。本を読むことは本と自己との絶え間のない対話であり、時を飛び越えるもの、なんて言葉が浮かぶ。再度言う。私は書物を愛するようにこの映画を愛する。Fahrenheit 451 1966 FR=UK Universal Pictures16:9仕様でアスペクト比は1.78: 1 ビスタサイズ。2008年のEAN 4571264905784と同じ特典付き。ただし特典に日本語字幕なし。言語:英語、日本語 字幕:日本語、英語
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2022年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
各国語字幕版が収録されており、日本語もあったので買いました。買ってとても良かったです。画質も良かったです。
2021年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
以前にDVDを持ってたのですが、今回BRで改めて見直して感動ものでした。
最初に出動する車のボディのツヤが、比べものにならないんです。
これは買って損しないソフトですね。
最初に出動する車のボディのツヤが、比べものにならないんです。
これは買って損しないソフトですね。
2012年11月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人権擁護案が通ったら笑ってもいられない。
テレビに興じることのみが娯楽とは、私には地獄だ
願わくばこの作品が娯楽として単純に楽しめる社会であらんことを。
原作者、レイ・ブラッドベリのご冥福をお祈りします。
テレビに興じることのみが娯楽とは、私には地獄だ
願わくばこの作品が娯楽として単純に楽しめる社会であらんことを。
原作者、レイ・ブラッドベリのご冥福をお祈りします。
2021年8月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
価格が安くしかも日本語吹き替えがありのはいいです。
2016年2月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
吹替えは全編ありますので、TV放送の物ではないということでしょうか。特に有名な声優は起用されてないと思います。
特典はいろいろあり、ブラッドベリのインタビュー11分。 ジュリー・クリスティーの音声解説。
メイキング44分。 「華氏451」と音楽16分。 これらが字幕がない模様。 あきれます。
画質は特に悪くはないですが、 キズはあり、丁寧にレストアはされてないと思います。
特典はいろいろあり、ブラッドベリのインタビュー11分。 ジュリー・クリスティーの音声解説。
メイキング44分。 「華氏451」と音楽16分。 これらが字幕がない模様。 あきれます。
画質は特に悪くはないですが、 キズはあり、丁寧にレストアはされてないと思います。
2015年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
素晴らしい。打たれる。私は書物を愛するようにこの映画を愛する。
本を所持すること、読むことが禁止される世界。見つけられた本はfiremanにより焼却される社会。SFときき、高度な近未来世界を想像すると面食らうと思う。2015年から見ればパラレル・ワールドというか、歴史上のどこかで角をまがりそこねてたどり着いたこうなっていたかも知れない現代という感じ。いきなりの斬新なアイデアによるタイトルバックに唖然。文字が使われない社会を逆手にとった皮肉。その色使い。
今のハリウッドならすべてを映し、すべてを説明し、迫害される少数派、主人公はそれに抗うヒーローとなるが、トリュフォー監督はそんな手法は使わない。社会の全体像や統制システム描写はない(『1984』のBig brother的存在はない)。ある郊外のミニマムな範囲で映画は進む。牧歌的ですらある。あるレビュアーさまのご指摘のように寓話的。詩情がある。つ監督が尊敬するヒッチコック作品のようなタッチも時に感じられる。作品をジャンル分けするのはあまり意味はないが、あえていうなら、マイノリティを巡る美しき寓話的スリラーといってよいかと思う。
本作は主人公2人(firemanのモンターグと謎めいた隣人のクラリス)の内心の変化・理由を丁寧には展開しない。トリュフォーが「人間を描くことができなかった」というのはそういうことなのかも知れない。しかし狙った結果とは別に、それを超える厳粛な美しさがありる。ハッとさせられるイメージがある。全体的に静謐でひんやりとした空気に包まれていて。竜の舌のような禍々しく噴き出す焔。断末魔の叫びすらあげず無力に燃え上がる書物・活字。滑稽だが、緑の中をひた走る赤が美しいfire car。モノレール・・。そしておばさんのシーンはショッキングだが気高さすら漂う。
焚書の歴史には触れないが、ここで「書物」が象徴しているものは何か。それは疑問を持ち、思索し、対話し、奔放なイマジネーションを楽しむことではないか。叡智の承継。書物がない世界は、過去を振り返らず伝承しない世界。感情の高揚を認めない、疑問・憧憬を持たせない社会。ここでは個々の書物の出来不出来や内容が重要ではなく、一方向の情報を無批判に受け入れる怠惰(TVモニターとアンテナがその比喩)への批判なのではないか。自戒。
しかしなによりも後半の「本の人々(Book People)」の描写に揺さぶられた。このコミュニティの描写は類を見ない静かな力強さと儚さに満ちていて、私に忘れがたい印象を残す。ここに至って本シーンは一気に歴代映画の私のベスト・シーンの一つとなった。
以下、★まで核心に触れています。
広大で寂しげな林のさらに奥、廃線の鉄路。書物に魅せられた者が、自ら選んだ書物を一字一句頭に記憶し再びいつか印刷される日を待つ・・。1冊また1冊。来る日も来る日も覚えては焼き、また覚える。「荒野に叫ぶ少数の異端分子」たち。モンターグが暗記するのはエドガー・アラン・ポーの「怪奇と幻想の物語」。人が「本」になり、コミュニティが「図書館」となる。池のほとりのテントの床で少年に口授する老人。テントの外は雪。少年も年老いてまた明日の少年に書物を伝えるだろう。舞い散る雪の中、本を口ずさみながら林を行きかう人々。そこに現れる本作で初めての「文字」。The End. ★
最後に、撮影のニコラス・ローグ(後に監督となり『美しき冒険旅行』『赤い影』『ジェラシー』など)とバーナード・ハーマン(ヒッチコック、デ・パルマ作品で知られる。他に『タクシー・ドライバー』『恐怖の岬』など)の2人に最大級の賛辞を送えう。時に軽妙に、時にヒッコック作品ばりに謎めいて、ラストでは静謐なハーマンのサウンド・マジックに完敗。新世界への誘惑に抗えないモンターグに扮するのはオスカー・ウェルナー(『突然炎のごとく』『寒い国から帰ったスパイ』)。謎の女性を演じるのはジュリー・クリスティ(ここではモンターグをBook Peopleに誘う女性と空虚な妻の2役。『ダーリング』『ドクトル・ジバゴ』『赤い影』など)が凛とした美しさを見せている。
焼却される本たちにも注目。あの本この本が出てくる。本を読むことは本と自己との絶え間のない対話であり、時を飛び越えるもの、なんて言葉が浮かぶ。再度言う。私は書物を愛するようにこの映画を愛する。
Fahrenheit 451 1966 FR=UK Universal Pictures
16:9仕様でアスペクト比は1.78: 1 ビスタサイズ。2008年のEAN 4571264905784と同じ特典付き。ただし特典に日本語字幕なし。言語:英語、日本語 字幕:日本語、英語
本を所持すること、読むことが禁止される世界。見つけられた本はfiremanにより焼却される社会。SFときき、高度な近未来世界を想像すると面食らうと思う。2015年から見ればパラレル・ワールドというか、歴史上のどこかで角をまがりそこねてたどり着いたこうなっていたかも知れない現代という感じ。いきなりの斬新なアイデアによるタイトルバックに唖然。文字が使われない社会を逆手にとった皮肉。その色使い。
今のハリウッドならすべてを映し、すべてを説明し、迫害される少数派、主人公はそれに抗うヒーローとなるが、トリュフォー監督はそんな手法は使わない。社会の全体像や統制システム描写はない(『1984』のBig brother的存在はない)。ある郊外のミニマムな範囲で映画は進む。牧歌的ですらある。あるレビュアーさまのご指摘のように寓話的。詩情がある。つ監督が尊敬するヒッチコック作品のようなタッチも時に感じられる。作品をジャンル分けするのはあまり意味はないが、あえていうなら、マイノリティを巡る美しき寓話的スリラーといってよいかと思う。
本作は主人公2人(firemanのモンターグと謎めいた隣人のクラリス)の内心の変化・理由を丁寧には展開しない。トリュフォーが「人間を描くことができなかった」というのはそういうことなのかも知れない。しかし狙った結果とは別に、それを超える厳粛な美しさがありる。ハッとさせられるイメージがある。全体的に静謐でひんやりとした空気に包まれていて。竜の舌のような禍々しく噴き出す焔。断末魔の叫びすらあげず無力に燃え上がる書物・活字。滑稽だが、緑の中をひた走る赤が美しいfire car。モノレール・・。そしておばさんのシーンはショッキングだが気高さすら漂う。
焚書の歴史には触れないが、ここで「書物」が象徴しているものは何か。それは疑問を持ち、思索し、対話し、奔放なイマジネーションを楽しむことではないか。叡智の承継。書物がない世界は、過去を振り返らず伝承しない世界。感情の高揚を認めない、疑問・憧憬を持たせない社会。ここでは個々の書物の出来不出来や内容が重要ではなく、一方向の情報を無批判に受け入れる怠惰(TVモニターとアンテナがその比喩)への批判なのではないか。自戒。
しかしなによりも後半の「本の人々(Book People)」の描写に揺さぶられた。このコミュニティの描写は類を見ない静かな力強さと儚さに満ちていて、私に忘れがたい印象を残す。ここに至って本シーンは一気に歴代映画の私のベスト・シーンの一つとなった。
以下、★まで核心に触れています。
広大で寂しげな林のさらに奥、廃線の鉄路。書物に魅せられた者が、自ら選んだ書物を一字一句頭に記憶し再びいつか印刷される日を待つ・・。1冊また1冊。来る日も来る日も覚えては焼き、また覚える。「荒野に叫ぶ少数の異端分子」たち。モンターグが暗記するのはエドガー・アラン・ポーの「怪奇と幻想の物語」。人が「本」になり、コミュニティが「図書館」となる。池のほとりのテントの床で少年に口授する老人。テントの外は雪。少年も年老いてまた明日の少年に書物を伝えるだろう。舞い散る雪の中、本を口ずさみながら林を行きかう人々。そこに現れる本作で初めての「文字」。The End. ★
最後に、撮影のニコラス・ローグ(後に監督となり『美しき冒険旅行』『赤い影』『ジェラシー』など)とバーナード・ハーマン(ヒッチコック、デ・パルマ作品で知られる。他に『タクシー・ドライバー』『恐怖の岬』など)の2人に最大級の賛辞を送えう。時に軽妙に、時にヒッコック作品ばりに謎めいて、ラストでは静謐なハーマンのサウンド・マジックに完敗。新世界への誘惑に抗えないモンターグに扮するのはオスカー・ウェルナー(『突然炎のごとく』『寒い国から帰ったスパイ』)。謎の女性を演じるのはジュリー・クリスティ(ここではモンターグをBook Peopleに誘う女性と空虚な妻の2役。『ダーリング』『ドクトル・ジバゴ』『赤い影』など)が凛とした美しさを見せている。
焼却される本たちにも注目。あの本この本が出てくる。本を読むことは本と自己との絶え間のない対話であり、時を飛び越えるもの、なんて言葉が浮かぶ。再度言う。私は書物を愛するようにこの映画を愛する。
Fahrenheit 451 1966 FR=UK Universal Pictures
16:9仕様でアスペクト比は1.78: 1 ビスタサイズ。2008年のEAN 4571264905784と同じ特典付き。ただし特典に日本語字幕なし。言語:英語、日本語 字幕:日本語、英語
素晴らしい。打たれる。私は書物を愛するようにこの映画を愛する。
本を所持すること、読むことが禁止される世界。見つけられた本はfiremanにより焼却される社会。SFときき、高度な近未来世界を想像すると面食らうと思う。2015年から見ればパラレル・ワールドというか、歴史上のどこかで角をまがりそこねてたどり着いたこうなっていたかも知れない現代という感じ。いきなりの斬新なアイデアによるタイトルバックに唖然。文字が使われない社会を逆手にとった皮肉。その色使い。
今のハリウッドならすべてを映し、すべてを説明し、迫害される少数派、主人公はそれに抗うヒーローとなるが、トリュフォー監督はそんな手法は使わない。社会の全体像や統制システム描写はない(『1984』のBig brother的存在はない)。ある郊外のミニマムな範囲で映画は進む。牧歌的ですらある。あるレビュアーさまのご指摘のように寓話的。詩情がある。つ監督が尊敬するヒッチコック作品のようなタッチも時に感じられる。作品をジャンル分けするのはあまり意味はないが、あえていうなら、マイノリティを巡る美しき寓話的スリラーといってよいかと思う。
本作は主人公2人(firemanのモンターグと謎めいた隣人のクラリス)の内心の変化・理由を丁寧には展開しない。トリュフォーが「人間を描くことができなかった」というのはそういうことなのかも知れない。しかし狙った結果とは別に、それを超える厳粛な美しさがありる。ハッとさせられるイメージがある。全体的に静謐でひんやりとした空気に包まれていて。竜の舌のような禍々しく噴き出す焔。断末魔の叫びすらあげず無力に燃え上がる書物・活字。滑稽だが、緑の中をひた走る赤が美しいfire car。モノレール・・。そしておばさんのシーンはショッキングだが気高さすら漂う。
焚書の歴史には触れないが、ここで「書物」が象徴しているものは何か。それは疑問を持ち、思索し、対話し、奔放なイマジネーションを楽しむことではないか。叡智の承継。書物がない世界は、過去を振り返らず伝承しない世界。感情の高揚を認めない、疑問・憧憬を持たせない社会。ここでは個々の書物の出来不出来や内容が重要ではなく、一方向の情報を無批判に受け入れる怠惰(TVモニターとアンテナがその比喩)への批判なのではないか。自戒。
しかしなによりも後半の「本の人々(Book People)」の描写に揺さぶられた。このコミュニティの描写は類を見ない静かな力強さと儚さに満ちていて、私に忘れがたい印象を残す。ここに至って本シーンは一気に歴代映画の私のベスト・シーンの一つとなった。
以下、★まで核心に触れています。
広大で寂しげな林のさらに奥、廃線の鉄路。書物に魅せられた者が、自ら選んだ書物を一字一句頭に記憶し再びいつか印刷される日を待つ・・。1冊また1冊。来る日も来る日も覚えては焼き、また覚える。「荒野に叫ぶ少数の異端分子」たち。モンターグが暗記するのはエドガー・アラン・ポーの「怪奇と幻想の物語」。人が「本」になり、コミュニティが「図書館」となる。池のほとりのテントの床で少年に口授する老人。テントの外は雪。少年も年老いてまた明日の少年に書物を伝えるだろう。舞い散る雪の中、本を口ずさみながら林を行きかう人々。そこに現れる本作で初めての「文字」。The End. ★
最後に、撮影のニコラス・ローグ(後に監督となり『美しき冒険旅行』『赤い影』『ジェラシー』など)とバーナード・ハーマン(ヒッチコック、デ・パルマ作品で知られる。他に『タクシー・ドライバー』『恐怖の岬』など)の2人に最大級の賛辞を送えう。時に軽妙に、時にヒッコック作品ばりに謎めいて、ラストでは静謐なハーマンのサウンド・マジックに完敗。新世界への誘惑に抗えないモンターグに扮するのはオスカー・ウェルナー(『突然炎のごとく』『寒い国から帰ったスパイ』)。謎の女性を演じるのはジュリー・クリスティ(ここではモンターグをBook Peopleに誘う女性と空虚な妻の2役。『ダーリング』『ドクトル・ジバゴ』『赤い影』など)が凛とした美しさを見せている。
焼却される本たちにも注目。あの本この本が出てくる。本を読むことは本と自己との絶え間のない対話であり、時を飛び越えるもの、なんて言葉が浮かぶ。再度言う。私は書物を愛するようにこの映画を愛する。
Fahrenheit 451 1966 FR=UK Universal Pictures
16:9仕様でアスペクト比は1.78: 1 ビスタサイズ。2008年のEAN 4571264905784と同じ特典付き。ただし特典に日本語字幕なし。言語:英語、日本語 字幕:日本語、英語
本を所持すること、読むことが禁止される世界。見つけられた本はfiremanにより焼却される社会。SFときき、高度な近未来世界を想像すると面食らうと思う。2015年から見ればパラレル・ワールドというか、歴史上のどこかで角をまがりそこねてたどり着いたこうなっていたかも知れない現代という感じ。いきなりの斬新なアイデアによるタイトルバックに唖然。文字が使われない社会を逆手にとった皮肉。その色使い。
今のハリウッドならすべてを映し、すべてを説明し、迫害される少数派、主人公はそれに抗うヒーローとなるが、トリュフォー監督はそんな手法は使わない。社会の全体像や統制システム描写はない(『1984』のBig brother的存在はない)。ある郊外のミニマムな範囲で映画は進む。牧歌的ですらある。あるレビュアーさまのご指摘のように寓話的。詩情がある。つ監督が尊敬するヒッチコック作品のようなタッチも時に感じられる。作品をジャンル分けするのはあまり意味はないが、あえていうなら、マイノリティを巡る美しき寓話的スリラーといってよいかと思う。
本作は主人公2人(firemanのモンターグと謎めいた隣人のクラリス)の内心の変化・理由を丁寧には展開しない。トリュフォーが「人間を描くことができなかった」というのはそういうことなのかも知れない。しかし狙った結果とは別に、それを超える厳粛な美しさがありる。ハッとさせられるイメージがある。全体的に静謐でひんやりとした空気に包まれていて。竜の舌のような禍々しく噴き出す焔。断末魔の叫びすらあげず無力に燃え上がる書物・活字。滑稽だが、緑の中をひた走る赤が美しいfire car。モノレール・・。そしておばさんのシーンはショッキングだが気高さすら漂う。
焚書の歴史には触れないが、ここで「書物」が象徴しているものは何か。それは疑問を持ち、思索し、対話し、奔放なイマジネーションを楽しむことではないか。叡智の承継。書物がない世界は、過去を振り返らず伝承しない世界。感情の高揚を認めない、疑問・憧憬を持たせない社会。ここでは個々の書物の出来不出来や内容が重要ではなく、一方向の情報を無批判に受け入れる怠惰(TVモニターとアンテナがその比喩)への批判なのではないか。自戒。
しかしなによりも後半の「本の人々(Book People)」の描写に揺さぶられた。このコミュニティの描写は類を見ない静かな力強さと儚さに満ちていて、私に忘れがたい印象を残す。ここに至って本シーンは一気に歴代映画の私のベスト・シーンの一つとなった。
以下、★まで核心に触れています。
広大で寂しげな林のさらに奥、廃線の鉄路。書物に魅せられた者が、自ら選んだ書物を一字一句頭に記憶し再びいつか印刷される日を待つ・・。1冊また1冊。来る日も来る日も覚えては焼き、また覚える。「荒野に叫ぶ少数の異端分子」たち。モンターグが暗記するのはエドガー・アラン・ポーの「怪奇と幻想の物語」。人が「本」になり、コミュニティが「図書館」となる。池のほとりのテントの床で少年に口授する老人。テントの外は雪。少年も年老いてまた明日の少年に書物を伝えるだろう。舞い散る雪の中、本を口ずさみながら林を行きかう人々。そこに現れる本作で初めての「文字」。The End. ★
最後に、撮影のニコラス・ローグ(後に監督となり『美しき冒険旅行』『赤い影』『ジェラシー』など)とバーナード・ハーマン(ヒッチコック、デ・パルマ作品で知られる。他に『タクシー・ドライバー』『恐怖の岬』など)の2人に最大級の賛辞を送えう。時に軽妙に、時にヒッコック作品ばりに謎めいて、ラストでは静謐なハーマンのサウンド・マジックに完敗。新世界への誘惑に抗えないモンターグに扮するのはオスカー・ウェルナー(『突然炎のごとく』『寒い国から帰ったスパイ』)。謎の女性を演じるのはジュリー・クリスティ(ここではモンターグをBook Peopleに誘う女性と空虚な妻の2役。『ダーリング』『ドクトル・ジバゴ』『赤い影』など)が凛とした美しさを見せている。
焼却される本たちにも注目。あの本この本が出てくる。本を読むことは本と自己との絶え間のない対話であり、時を飛び越えるもの、なんて言葉が浮かぶ。再度言う。私は書物を愛するようにこの映画を愛する。
Fahrenheit 451 1966 FR=UK Universal Pictures
16:9仕様でアスペクト比は1.78: 1 ビスタサイズ。2008年のEAN 4571264905784と同じ特典付き。ただし特典に日本語字幕なし。言語:英語、日本語 字幕:日本語、英語
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2022年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この日までには届きます。という日付を2日過ぎての到着。早速再生してみると画面が固まり、言語設定もできず。お金をだして購入し、何も使えないプラスチックをいただきました。ありがとうございました。
2017年12月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
おそらく自分が小学生だったころに
この映画を初めて観たのだと思う。
本の虫ではなかったけれど
読書がまぁまぁ好きだった、やや引っ込み思案の子供にとって
本を焼く、という内容のSF映画は
いくらフィクションとは言え、ショックでした。
好きな蔵書と一緒に火に焼かれて自死する女性のイメージは
当時の子供にはかなりのインパクトだったと思います。
(後年、世界史を勉強したときに「焚書」とか
「魔女狩り」という言葉を読むたびに
この映画が頭をよぎったほどです)
安価なDVDが出ていたので買い求め、
特典映像を見たら、さらに面白かったです。
字幕がなかったので
つたない英語知識でのみ得た内容ですが、
レイ・ブラッドベリがインタビューで
「お金のない時期に(プレイボーイ誌創業者の)ヒュー・ヘフナーが
興味を示してくれて原作を買ってくれた」とか
メイキングのインタビューで
制作者?が「(監督の)トリュフォーはフランス語しか喋れなかったけど
(主演の)ジュリー・クリスティーもオスカー・ウェルナーもフランス語が出来たので
撮影にほとんど支障はなく、撮影終盤にはトリュフォーも簡単な
英語でスタッフに挨拶するようになっていた」
「オスカー・ウェルナーは(1962年のトリュフォー監督作品「突然炎のごとく」出演以来)
今回再び監督と組むことになった。彼は(1965年の「寒い国から来たスパイ」に出演した後)
ハリウッドスター然となってしまい、トリュフォー監督にことごとく反発したため、
撮影最後の2週間くらいは、ほとんど二人は口もきかなかった」
「(劇中)クラリスがモンターグに、森の中で焚書の迫害を逃れて暮らす人々のことを
”book peopleよ”と伝えていますが、監督の母国語であるフランス語で
”homme libre" (本の人)と " homme livre"(自由な人)を
二重の意味で掛けていると思う」
「主演のジュリー・クリスティーはトリュフォー監督の意図を深く汲み、
素晴らしい演技をしたが、当初はジェーン・フォンダなど別の女優も
候補に挙がっていた」
「森の中で暮らす人々の撮影中、4月だったが雪が降った。
ある老人が口述で小さな男の子に本の内容を伝える場面で
その文章の内容と雪に覆われた森の景色が重なり、非常に美しい場面が撮れた」
等々、
今となっては、非常に興味深い内容だと思いました。
(以上、内容が間違っていたらゴメンナサイ)
翻訳専門の方にしっかりとした字幕で
訳を付けて頂けたら、と思います。
この映画を初めて観たのだと思う。
本の虫ではなかったけれど
読書がまぁまぁ好きだった、やや引っ込み思案の子供にとって
本を焼く、という内容のSF映画は
いくらフィクションとは言え、ショックでした。
好きな蔵書と一緒に火に焼かれて自死する女性のイメージは
当時の子供にはかなりのインパクトだったと思います。
(後年、世界史を勉強したときに「焚書」とか
「魔女狩り」という言葉を読むたびに
この映画が頭をよぎったほどです)
安価なDVDが出ていたので買い求め、
特典映像を見たら、さらに面白かったです。
字幕がなかったので
つたない英語知識でのみ得た内容ですが、
レイ・ブラッドベリがインタビューで
「お金のない時期に(プレイボーイ誌創業者の)ヒュー・ヘフナーが
興味を示してくれて原作を買ってくれた」とか
メイキングのインタビューで
制作者?が「(監督の)トリュフォーはフランス語しか喋れなかったけど
(主演の)ジュリー・クリスティーもオスカー・ウェルナーもフランス語が出来たので
撮影にほとんど支障はなく、撮影終盤にはトリュフォーも簡単な
英語でスタッフに挨拶するようになっていた」
「オスカー・ウェルナーは(1962年のトリュフォー監督作品「突然炎のごとく」出演以来)
今回再び監督と組むことになった。彼は(1965年の「寒い国から来たスパイ」に出演した後)
ハリウッドスター然となってしまい、トリュフォー監督にことごとく反発したため、
撮影最後の2週間くらいは、ほとんど二人は口もきかなかった」
「(劇中)クラリスがモンターグに、森の中で焚書の迫害を逃れて暮らす人々のことを
”book peopleよ”と伝えていますが、監督の母国語であるフランス語で
”homme libre" (本の人)と " homme livre"(自由な人)を
二重の意味で掛けていると思う」
「主演のジュリー・クリスティーはトリュフォー監督の意図を深く汲み、
素晴らしい演技をしたが、当初はジェーン・フォンダなど別の女優も
候補に挙がっていた」
「森の中で暮らす人々の撮影中、4月だったが雪が降った。
ある老人が口述で小さな男の子に本の内容を伝える場面で
その文章の内容と雪に覆われた森の景色が重なり、非常に美しい場面が撮れた」
等々、
今となっては、非常に興味深い内容だと思いました。
(以上、内容が間違っていたらゴメンナサイ)
翻訳専門の方にしっかりとした字幕で
訳を付けて頂けたら、と思います。
他の国からのトップレビュー
Andrew Buckle
5つ星のうち5.0
Enjoyed this
2024年4月23日に英国でレビュー済みAmazonで購入
Haven't seen this for ages and ages so it was a joy to see this film again. The main character is a little annoying and the film just jump a bit and make little sense at times but it is still a fascinating film to watch. Glad I got the DVD but I would love to see this released on Bluray with a lot more extra materials and deleted scenes etc
MALROU
5つ星のうち5.0
Farenheit 451
2024年4月4日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
Satisfait de l'achat et de sa livraison .Film culte de Truffaut à offrir à mes enfants MERCI
MARCIAL GARCIA MORENO
5つ星のうち5.0
Gran pelicula
2023年11月7日にスペインでレビュー済みAmazonで購入
En General todo correcto
Tommaso Casini
5つ星のうち5.0
Mi aspettavo meno omissioni di rispetto al libro però gran film
2022年5月11日にイタリアでレビュー済みAmazonで購入
Voto 5 perché questo film rappresenta pienamente il senso e il sentimento del libro. La vicina di casa nel libro sarebbe una ragazzina e sparirebbe abbastanza presto dal racconto, qui è grande e c’è fino alla fine. Mancano all’appello i cani segugio meccanici dai quali dipende il tempo dell’inseguimento e il vecchio professore che assiste Montag nel piano di fuga tramite auricolari: fuga molto meno emozionante rispetto al libro poiché inoltre mancano le automobili a tutta velocità , il diversivo della denuncia stavolta da parte di Montag e soprattutto lo scoppio di una grande guerra che distrugge la città mentre lui si salva in campagna. Per il resto molto fedele e bello
Cambier Thierry Daniel M
5つ星のうち5.0
Parfait
2023年9月10日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
Parfait. Produit conforme.