とはいっても、やはりブライアンが「Love Of My Life」の弾き語りを披露し、ロジャーが「I'm In Love With My Car」のドラムを再現するあたりは、ファンとしては興奮を禁じえない。また、当時のブリティッシュ・ロックのシャープで分離の良い音作りとは一線を画する、重厚でエフェクティヴ、しかし音色豊かでゴージャスなサウンドをつくったロイの解説は非常に興味深い。
2点目。実はクイーンの中でオペラティックな要素をここまでアルバム全体に醸し出したのは本作だけであり、その仕掛け人はフレディで、その極めつけは「Lazing on a Sunday Afternoon」「Seaside Rendezvous」などの濃密なアイデアをこめた小品や、演劇的な程のエキゾシズムを感じさせるオープニングの「Death on Two Legs (Dedicated to...)」など、フレディの自作曲にこそある。このあたりの分析が「オペラ座の夜」の解析の白眉であるはずだが、それを語るべき人がいないため、分析が掘り下げられない。
ロックの名盤、そしてQUEENの最高傑作と称される『オペラ座の夜』製作過程と秘話をQUEENのBrian May/gとRoger Taylor/dプロデュサーのRoy Thomas Bakerが、(主に)解説している(他にも彼らと親交のあるIan Hunter/MOTT THE HOOPLE、Joe Perry/AEROSMITHらのコメントも有)。