林業会社が、森の木々に成長促進剤を投与したら、樹液にゾンビウィルスが発生。木こりが感染し、瞬く間に森はゾンビの巣窟に・・・・。わずかな生き残りたちの苦闘を描く、そんなお話。
一言で評すると、とにかく真面目な作品です。
ゾンビの発生理由に、エコロジーをこじつけただけの俗悪ホラー・・・・と思いきや、意外によく考えてある。
社長の息子である主人公の運命、という物語自体が、環境問題のメタファーなのでしょう。
どうも、文明と自然の相克を、父性と母性の対立になぞらえているようです。裏テーマは、離婚問題?
板挟みになった息子が苦しむ姿は、人類の未来を象徴したものでした。
この深刻なテーマ性。さながらゾンビ版「もののけ姫」といった趣です。
・・・・そういえば、「風の谷のナウシカ」のコミック版では、『ヒドラ』なるゾンビが登場していました。
このネーミングは、蛇つながりの暗号? 宮崎駿監督もきっと、ゾンビがお好きなんでしょう。
閑話休題。
こんな、お堅い本作。観る方も、とことん真面目な態度で臨まなければ、楽しめません。
ゴア描写のヌルさにブーイングを飛ばしたり、
後半のもろ「28日後・・・」な展開に呆れたり、
ぬけぬけとしたラブシーンにイラッとしたり、
『私を置いて行かないで!』のセリフに失笑したり、してはいけないのです。
シリアスな社会的テーマが込められたホラーは、やはり味わい深いもの。地味ながら、完成度も高いです。
‘00年代の膨大なゾンビ映画の中では、当たりに属する作品でしょう。
特に『ゾンビは好きだけど、やたら残酷なのはイヤ』という、複雑な乙女心を持つ人には、お薦め。