ほぼ全編TB-303と808(リズムマシーンの名称です)を使い倒した、アシッドでエレクトロなバック・トラックに、ECDのラップが乗る異色作…なんですが、初期のヒップホップも実際808を使い倒してますからね。今でこそヒップ・ホップは完全にポップ・ミュージックの主流ですが、単なるキワモノ扱いされてた初期のヒップホップの「なんじゃこりゃ?」っていう違和感。むしろその違和感こそがヒップホップだといわんばかりに、絶対にお約束のループやブレイクを使わず、聞いてる人の「なんじゃこりゃ?」感を追及するECDのスタンスと間違えない感覚は、本当グレイトだと思います。
フーディーニとかUTFOを髣髴とさせる808ビート+303アシッド・ベースが大活躍するイルな音色のトラックも最高ですが……でも、最大の魅力は、やっぱりECDの強力なパンチライン!!名言格言の連射。冒頭から「知ったこっちゃない/引き続き/知ったこっちゃない」と相変わらずのECD節に嬉しくなる1曲目、「何の権利があって追い出すんじゃ!」というサンプルの反復で幕を開ける野外レイヴ賛歌の4曲目、「ECD IS 実在のひと/たった一人でもラップグループ」のキャッチーな8曲目、そして本作で一番グッときた「チャラチャラするだけでも命がけ/ヘラヘラしてるだけで嫌がらせ」の10曲目など、まさしくパーティが好きな人にとっての指南書。自主制作のため量販店には置いてませんが、ヒップホップが好きな人なら、是非一度聞いてほしいと思います。