女性のみのキャストで、女性のみが集う学園で繰り広げられる、女性のみの恋愛模様を描くと言う「百合モノばやり」「声優萌え」の風潮に乗っかっただけの企画モノと言う第一印象だったこの作品ですが、シリーズ全編を通して視聴してみれば、そんな低レベルな作品では無い事が嫌でも伝わってきますね。確かに人気声優を起用し、かなりのHテイストも含んだ作画や禁断の園と言う設定等、”狙った”と思われる要素が多いのは事実ですが、シナリオや演出は非常に高度に練られているし、作画(特に美術面)が週一アニメとしては出色といって良い程のレベルを最後まで保ち続けたと言うのは特筆に価すると思います。
今巻はいよいよ最終巻、最終3話分が収録されています。
第24・25話では、エトワール選に臨む候補者達それぞれに舞い降りた苦難と、それを乗り越えるまでが描かれます。渚砂、静馬、玉青、それぞれの複雑な心情を、説明ではなく演出で表現している点は素晴らしいし、天音と光莉を待つ夜々、詩遠、要の描かれ方も好印象。一人として御座なりになっているキャラが居らず、ラストを目前にしたスタッフの意気込みや作品への愛が伝わって来るような内容となっています。
そして最終話。アストラエア選の顛末が描かれます。小説版と違ってアストラエア選の内容そのものはあまり深く描写されておりませんが、これは活字媒体と映像媒体の特性の違いでしょうね。結果について綴るような野暮はしませんが、それぞれのキャラの結論をしっかり描き出した美しい幕引きがなされていますので、ここまで視てきたファンの期待には充分に応えたラストと言えますね。
私はどちらかと言うと玉青や夜々に惹かれたと言うヒネクレモノなのですが、それでもこのラストには納得せざるを得ませんね。少し存在感が薄れてしまったキャラクターが何人かいるのは残念ですが、その分しっかりと本筋を描き出す事に成功した見応えのある傑作です。