森重樹一とSIONによるコラボレーションが十二分に堪能できる作品。同時に、ZIGGYの色を最小限に留めた森重樹一の素顔も収められているというのが個人的な感想だ。
森重樹一はこれ以前にも以降にもソロ活動を行なってはいるが、客観的にZIGGYとの差別化というのがいまいち分かりづらいタイプの活動だ(そもそもZIGGY本体のメンバーチェンジや音楽性の変化が激しいのも理由のひとつだが)
しかしここでは、パブリックイメージのハードロックに捉われることなく「SIONという素晴らしい歌うたいに憧れる1人のシンガー」という印象だ。これはとても貴重な「素顔の森重樹一」だろう。
対するSIONは相変わらずのブレの無さで、当時の最強の相棒・松田文の奏でる旋律にいつものしゃがれ声を乗せて歌う。
ドキュメンタリーということで飲み屋で楽しそうに話す姿や、レコーディング風景も収録されているのが双方のファンには嬉しい限りだろう。
このコラボレーションから早15年が経ち、松田文は引退してしまったが、いつかまた同じステージに立つ2人を見てみたい。