ハリケーン・カトリーナで音楽の聖地ニューオーリンズが大被害をうけたことに心を痛めたコステロは、その中で被災したアラン・トゥーサンに声を掛け、音楽で、その復興に力を注ぎます。またそれは、無策な政府への怒りの表明でもありました。
プロデュースは、Tボーン・バーネットからの薦めもあり、ジョー・ヘンリーが起用され、はじめてコステロと作業をしています。
J.ヘンリーという人は、レコードのような太く柔らかな音を作る名人です。ソロモン・バークの「ドント・ギヴ・アップ・オン・ミー」も実に名品でした。
アルバム全体、アラン・トゥーサンの懐の深い、どっしりとした雰囲気がコステロ&ジ・インポスターズにしっかりと伝わって、そこに J.ヘンリーの手腕が振るわれ、落ち着きのある深々としたサウンドに仕上がっています。
④⑧⑨⑩⑬コステロとトゥーサンとの共作。
⑥コステロ作。
他は、アラン・トゥーサンの名曲を歌うーーアルバムになっています。
”昔はよくあった、オリジナルとカバーが半々というようなアルバム” を作ってはどうか、とコステロはトゥーサンにアイディアを持ちかけたということです。そして ”それは面白い” という話になり、このアルバムが制作されました。
バカラックに(コンテンポラリーではない)本来のバカラック・サウンドを取り戻させたように、ここでもコステロはアラン・トゥーサンにそうした音楽を再び奏でさせています(それは強要するわけではなく)。
「名品」と呼びたくなる燻し銀のアルバムです。
特典DVDも素晴らしい記録になっていますので、是非それと共にお楽しみ下さい。
このアルバムの写真撮影は、ディランの息子ジェシー・ディランが「ザ・デリヴァリー・マン」につづいて担当しています。