高橋悠治の自作品としては、極度に前衛的でもなく、民族的・大衆的でもありません。
しかし、決して中途半端ということはなく、コラージュやミニマル・ミュージック的な面とか、
ピアノの内部奏法とか、自然音のミキシングとか、この手の音楽が耳障りであったところを脱し、
現代音楽としては比較的万人受けもしやすく、完成度も高い音楽を作り上げています。
実はこの作品、LPは2バージョンあり、初出は4CHステレオ(現行のサラウンド類似システム)で
録音され、細部も異なる上、ナレーションがなかったという、このCDとは別バージョンだったのですが、
CDでは改訂版しか発売されてないのが残念です。
今でしたらSACDもしくはDVDなどでサラウンドも可能でしょうに。
とはいえ、この特異で、素敵な曲がCD化されたことを素直に喜ぶべきなのでしょう。