06年発表。オズの魔法使い?的な寓話を彷佛とさせるかぶりものをした人物が二人。しかも手作りっぽくてかなり安っぽい。何を意図しているのかはその手の寓話的な話に詳しくない私には分からないが、何かバカっぽい。でもその音楽は真摯で美しく、そのギャップに驚く作品である。音楽的にはピアノを中心としたビューティフル・サウスあたりをちょっと濃厚にした感じのノスタルジックでメロディアスなポップスだと思う。
21世紀の音楽とは思えないノスタルジックでセピア・カラーなメロディの美しい1.トラッドを少しだけ彷佛とさせる2.はヴォーカルの美しさに感動。一時期のウィルダムヒルを彷佛とさせるピアノの美しいポップスの3.では素晴しいコーラスも聞かせる。木管が導入された4.もどこかグラスゴー勢に近い感触がある。アコギとチェロによるイントロが美しい5.もトラッド風味。クラシカルな雰囲気のバラードの6.メランコリックなメロディに美しいコーラスがかかる7.もこのアルバムを代表する佳曲。このセピア・カラーの感触は唯一無二の世界だろう。ドライヴする間奏のギターも素晴しい。一見すると地味な印象かもしれないが、音楽ファンなら絶対に「嫌い」とは思われない普遍的なサウンドを持っており、この雰囲気だけでも買いだろうと思う。噛めば噛むほど味が出て来るアルバムだと思うが、個人的には試聴で一発購入してしまった作品だった。