セリーヌと、、は全映画で10指に入るマイベスト。素晴らしい!!
他の2つもいいけれど、これはどうしても所有したいという映画でもないかなァ・・
ジャック・リヴェット傑作選DVD-BOX
フォーマット | ドルビー, ワイドスクリーン, 色 |
コントリビュータ | バルベ・シュレデール, ドミニク・ラブリエ, マリー=フランス・ピジェ, パスカル・オジェ, ジュリエット・ベルト, ブノワ・レジャン, ビュル・オジェ, ジャック・リヴェット |
稼働時間 | 8 時間 |
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登録情報
- アスペクト比 : 1.78:1
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 梱包サイズ : 20 x 14.2 x 5.2 cm; 439.99 g
- EAN : 4988001967675
- 監督 : ジャック・リヴェット
- メディア形式 : ドルビー, ワイドスクリーン, 色
- 時間 : 8 時間
- 発売日 : 2006/9/2
- 出演 : ジュリエット・ベルト, ドミニク・ラブリエ, マリー=フランス・ピジェ, バルベ・シュレデール, ビュル・オジェ
- 字幕: : 日本語
- 販売元 : 日本コロムビア
- ASIN : B000GFM8LI
- ディスク枚数 : 3
- Amazon 売れ筋ランキング: - 230,951位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 23,370位外国のドラマ映画
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年1月10日に日本でレビュー済み
●『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(186分) 1974年
●『北の橋』(124分) 1981年
●『彼女たちの舞台』(156分) 1989年
▪️『セリーヌとジュリーは舟でゆく』は、他に例を見ない映画、特別な映画、という感想も多くとてもおもしろい。突拍子もないのに自然な会話。ふたりが「迷い込む(幻想)」謎のお屋敷でくりひろげられる劇中劇(愛憎劇)。少しずつ繰り返しパズルのように組み合わさって・・・セリーヌとジュリーも劇の中に入って虚実入り組み、救出&脱出劇を経て、約三時間の「あれこれ」全部ひっくり返してしまうようなエンディングが待っています(笑)・・・深読みすればいろいろありそう。でもあまり勘ぐらず、ただそこにいるだけでも楽しい傑作映画。
▪️ 個人的には、夭折したパスカルとビュル・オジェ母娘共演、「運命的に」出会うマリーとバチストのロード・ムーヴィー、『北の橋』がとても好きです。薄曇りの空の下、バックに流れる走行音とピアソラのタンゴ♫ 、バイクを飛ばすバチスト(パスカル)と、バチストの目に映る街を写した長回し映像でリヴェットの映画の世界へと・・・。出所したばかりのマリー(ビュル)の過去が影を落とすパリ。さびれて怪しい街はずれ、こんなパリを知ってるわけじゃないのになぜか既視感を覚える『北の橋』のパリ。 < マリーに、「あなたを守ってあげる」というパスカルはドラゴン?退治もしますが・・・『彼女たちの舞台』でもルシアという娘が、「聖ゲオルギオスのドラゴン退治」の絵を自室に飾っています。。>
どれもこれも映像が魅力的なリヴェットの映画。
撮影は順に、ジャック・レナール、ウィリアム・ルプシャンスキー、カロリーヌ・シャンプティエ。
自然光の美しさと、巧みなトラヴェリングの長回しが特徴というルプシャンスキー。リヴェット作品の他、ゴダール作品やイオセリアーニ作品などを多く手がけています(トリュフォーの『隣の女』もルプシャンスキー)。
▪️視線をめぐらすようなシャンプティエのカメラ・・・光の加減がたいへん美しい『彼女たちの舞台』は、チャーミングな若い女優さんが何人も出演して華やぐ、色彩設計の素晴らしい映画ですが、(重く暗いリヴェットの長編第一作)『パリはわれらのもの』の「発展形」のように思います。くりかえす演劇のリハーサル、彼女たちの前に秘密組織の陰謀のように??迫る世界。『彼女たちの舞台』は、Boxの他二作品のようにファンタジー風味ではなくて、謎が蠢くミステリ。とは言え、すっきり片が付くわけではない含みのある終わり方。見るほどに巧緻な作りに気づきます。
・・・・・ここからは『彼女たちの舞台』のレビューです・・・・・・もしBlu-rayが発売されたら、そちらに移動します(笑)。(★★★★★)
(( 具体的に書くのを少し避けましたが、内容にふれています。注意してください。))
郊外の古い「家」をシェアして暮らす、演劇を学ぶ「彼女たち」。
原題は『LA BANDE DES QUATRE』(四人組)。英語タイトル『 Gang of Four』。
リヴェットには、バルザックの『十三人組物語』を元にした『アウト・ワン』という12時間超えの作品があり、「秘密結社」大好きというリヴェットらしい原題の『四人組』ですが、邦題の「彼女たち」という「語感」もこの映画によく合ってるとおもいます。(この「家」に住むのが常時四名。演劇学校シーンには10名以上登場し、キェシロフスキ『二人のベロニカ』のイレーヌ・ジャコブの顔も見えます。)
少女でも大人の女性でもない、彼女たちの日常生活を描いてとてもリアル。どうしたらこんなふんいきが作れるのだろう?と感心します。
郊外の「家」と、演劇学校を行き来する彼女たちの毎日、場面転換のように映し出される車窓の風景がとても印象的。
夜の街や、学校近くのパリっぽい石畳の道、「家」の庭など・・・ときおり写される屋外シーンのみずみずしさにもハッとします・・・
彼女たちの恋愛相手や家族関係、ビュル・オジェ演じる演劇学校教師コンスタンスの周辺にも、なにか「秘密」のありそうな仄めかし(「毒薬の小瓶」をこっそり持つ娘もいたりして)。セリフの端に少しずつ出てくる「謎や秘密」を追いながら見進めるのがたのしい。
映画開始早々に、セシル(ナタリー・リシャール)を「家」から立ち去らせる恋人リュカ。そして、彼女たちに近づく「謎の男」。このふたりは「正反対」の立場だけれど、どちらも彼女たちを「陰謀渦巻く??世界」に引き込む「役割」をしている・・・
「家」を出て行くセシルの代わりにやって来たのが「毒薬の小瓶」のルシア(イネス・ディ・マテイロス:オリヴェイラの『神曲』『わが幼少のポルト』など)☆
「謎の男」は、アンリ、トマ、ルシアン、三つの名を使い彼女たちに近づきます。「セシルの恋人と一緒に偽のIDを作っている」とか「セシルはテロリストだ」とか、(盗難にあい一世紀以上もの間行方不明だった)『美しき諍い女』(!)の「絵画取引」にセシルの恋人が関係して身の危険があるとか、まことしやかな話でもって三人の女の子に言い寄り、何かを探り出そうとします。さてこの男の目的はいったい・・・・・???
「謎の男」は、「毒薬の小瓶」のルシアには接触しません。この娘はどこかしら神秘性があって演技にもうまく入り込み、コンスタンスも「ダメ出し」しない・・・いろんなものを見透かすような目をしたルシアは、『パリはわれらのもの』のアンヌの「進化系」のように思えます。
この映画には「恋愛心理劇」のおもしろさもあって(これもリヴェットの映画の特徴だそうですが)、「謎の男」をめぐる彼女たちの恋愛心理を、女優さんたちそれぞれの個性を見せて素晴らしく演じているのも見どころです。「謎の男」も、いかにも切れる「回し者」という感じではなく、フランス映画っぽく?汚れて疲れた感じをチラリと見せたり・・・リアリティがあります(笑)。
演劇学校のリハーサルシーンに使われる「劇中劇」は、恋愛心理の描写に長けたマリヴォー作の『二重の不実』。
ビュル・オジェ演じる演出家コンスタンスが「ダメ出し」をくりかえすリハーサルと、彼女たちの実際の心理状態を絡めるように映画は進み、ある日・・・逮捕されてしまった恋人リュカへの想いで泣き出してしまうセシル。ナタリー・リシャール迫真の演技です(・・・が、劇中コンスタンスは「これは悲劇じゃないわ。ここは怒っているのよ」とダメ出しを・・・)。
セシルがなぜ泣いちゃったのか。客席でリハ見学中の子たちみんなで「歌って」説明するシーンや、彼女たちの「家」で繰り広げられる寸劇(← セシルの恋人リュカを巻き込んだ「事件」のダイジェストのような裁判劇。「政界のスキャンダルを暴露した人間が、濡れ衣の別件で告訴される」というお話。)も最後は「歌」で〆て。これはリヴェットのミュージカルへの想いなのでしょうか・・・手のこんだ作り。
(( ラストにふれています ))
セシルの恋人と「謎の男」が引きずってきたもの(陰謀を抱え込む世界??)が、彼女たちの日々を揺らし、やがて「驚きの展開」が・・・でも、そのあとは放りっぱなし(ミステリ、サスペンスの定石を外し)そのままラスト・・・と見せて・・・さらりと「回収」・・・なんてソフィスティケイトされた映画なの。
演劇教師コンスタンスの去り際をさりげなく演じるオジェが素敵です。若い女優さんたちのパワーに押され気味だけど、謎めいて儚く、最後のシーンはとてもいい感じ・・・
苦いハッピーエンドという劇中劇の『二重の不実』。
「これで終わりにしましょう」・・・コスチュームを着けた☆ルシアが演じる、恋人アルルカンに別れを告げ彼女を見染めた貴族の妻となるシルヴィアのセリフで、「劇中劇」も、映画『彼女たちの舞台』も〆ます。
コンスタンス不在のまま芝居のリハーサルを続ける彼女たちの間にただよう空気が後をひくラスト・カット・・・・
(( このあと「私見」ですが、内容にふれているので(ネタバレ)、未見の方は注意してください。))
リュカがセシルを通して、彼女たちの「家」に隠した、(政界スキャンダルの物的証拠の手紙の入った)小箱の「鍵」。
秩序維持のため証拠の「揉み消し」を図る刑事トマは、鍵のありかを探そうと彼女たちに言い寄り心身を弄びましたが、彼女たちの反撃に合い、結局ジョイスに撲殺されてしまいます。
なぜ、この役がジョイスだったのでしょう? ジョイスはトマの子をみごもっていたから。
たぶんこの女優さんが実際に妊娠していたから(お腹が大きかったのです)、そのようなストーリーへと膨らんだ(!)のではないかと推測しています。・・・劇中、トマとジョイスが会うシーンで、ふつうレモンは入れないカクテルに「レモンを」と注文しますし。(終盤煮詰まっってから)、トマの「どうするんだ?」のセリフのあと、トマは衝動的というかどこか切羽詰まった感じでジョイスにキスし、ジョイスは酷く乱れます。そのあと、やはりトマと肉体関係をもったクロード(← これは劇中、ぜんぜん露骨ではなく美しいと言えるのに、なんとも生々しいふんいきの「事後シーン」ではっきり示されます)とジョイスの、非常に居心地悪いシーンをふたりが素晴らしく演じてみせますが・・・終盤のこの複雑なムードは一体なんだろう?と、最初思いましたけれど、(個人的には)ジョイスの妊娠で解決しました(笑)。
コンスタンスのいない最後のリハ・シーンに、ジョイスは現れず、「ジョイスに会いに行く」というクロードと、「伝えたわ。喜んでた」というアンナのセリフがあります。・・・初めはジョイスが「服役中」なのかとだけ思いましたが、「出産準備中」でもあるのかもしれません。
【補足1】 四人組の女の子たち、国際色豊かなのもおもしろい設定です。リュカという恋人ができて先にこの家を出るセシルと、クロードはフランス人ですが、あと文中にも示したようにルシアはポルトガル人。小麦色の肌の美しいアンナは南(南米ふくむ、出身はアメリカ?)の血が混じるようですし、ジョイスはアイルランド出身。両親は故郷に帰ったという会話もありました。
【補足2】 「謎の男」トマのクロードへのお話は、もともと(バルザックの小説の登場人物で、リヴェットが『美しき諍い女』で映画化した)架空の画家フレンフォーフェルを実在のように語るのに始まり、『美しき諍い女』の盗難そして、(煩雑になるのでレビューには省いていましたが)その絵が最近現れて世界中あちこちしているという、クロードが「うっとり」してしまうお話まで、すべて作りごとなのですね(笑)。「謎の男」トマはまるで山師。。(リヴェット にとって、自分の次作予告を入れたメタ構造とも言えます。)
*** エンドクレジットの最後にこんなふうに出ます ⇨ 「全ての受刑者と 彼らを待つ人々に」 ***
●『北の橋』(124分) 1981年
●『彼女たちの舞台』(156分) 1989年
▪️『セリーヌとジュリーは舟でゆく』は、他に例を見ない映画、特別な映画、という感想も多くとてもおもしろい。突拍子もないのに自然な会話。ふたりが「迷い込む(幻想)」謎のお屋敷でくりひろげられる劇中劇(愛憎劇)。少しずつ繰り返しパズルのように組み合わさって・・・セリーヌとジュリーも劇の中に入って虚実入り組み、救出&脱出劇を経て、約三時間の「あれこれ」全部ひっくり返してしまうようなエンディングが待っています(笑)・・・深読みすればいろいろありそう。でもあまり勘ぐらず、ただそこにいるだけでも楽しい傑作映画。
▪️ 個人的には、夭折したパスカルとビュル・オジェ母娘共演、「運命的に」出会うマリーとバチストのロード・ムーヴィー、『北の橋』がとても好きです。薄曇りの空の下、バックに流れる走行音とピアソラのタンゴ♫ 、バイクを飛ばすバチスト(パスカル)と、バチストの目に映る街を写した長回し映像でリヴェットの映画の世界へと・・・。出所したばかりのマリー(ビュル)の過去が影を落とすパリ。さびれて怪しい街はずれ、こんなパリを知ってるわけじゃないのになぜか既視感を覚える『北の橋』のパリ。 < マリーに、「あなたを守ってあげる」というパスカルはドラゴン?退治もしますが・・・『彼女たちの舞台』でもルシアという娘が、「聖ゲオルギオスのドラゴン退治」の絵を自室に飾っています。。>
どれもこれも映像が魅力的なリヴェットの映画。
撮影は順に、ジャック・レナール、ウィリアム・ルプシャンスキー、カロリーヌ・シャンプティエ。
自然光の美しさと、巧みなトラヴェリングの長回しが特徴というルプシャンスキー。リヴェット作品の他、ゴダール作品やイオセリアーニ作品などを多く手がけています(トリュフォーの『隣の女』もルプシャンスキー)。
▪️視線をめぐらすようなシャンプティエのカメラ・・・光の加減がたいへん美しい『彼女たちの舞台』は、チャーミングな若い女優さんが何人も出演して華やぐ、色彩設計の素晴らしい映画ですが、(重く暗いリヴェットの長編第一作)『パリはわれらのもの』の「発展形」のように思います。くりかえす演劇のリハーサル、彼女たちの前に秘密組織の陰謀のように??迫る世界。『彼女たちの舞台』は、Boxの他二作品のようにファンタジー風味ではなくて、謎が蠢くミステリ。とは言え、すっきり片が付くわけではない含みのある終わり方。見るほどに巧緻な作りに気づきます。
・・・・・ここからは『彼女たちの舞台』のレビューです・・・・・・もしBlu-rayが発売されたら、そちらに移動します(笑)。(★★★★★)
(( 具体的に書くのを少し避けましたが、内容にふれています。注意してください。))
郊外の古い「家」をシェアして暮らす、演劇を学ぶ「彼女たち」。
原題は『LA BANDE DES QUATRE』(四人組)。英語タイトル『 Gang of Four』。
リヴェットには、バルザックの『十三人組物語』を元にした『アウト・ワン』という12時間超えの作品があり、「秘密結社」大好きというリヴェットらしい原題の『四人組』ですが、邦題の「彼女たち」という「語感」もこの映画によく合ってるとおもいます。(この「家」に住むのが常時四名。演劇学校シーンには10名以上登場し、キェシロフスキ『二人のベロニカ』のイレーヌ・ジャコブの顔も見えます。)
少女でも大人の女性でもない、彼女たちの日常生活を描いてとてもリアル。どうしたらこんなふんいきが作れるのだろう?と感心します。
郊外の「家」と、演劇学校を行き来する彼女たちの毎日、場面転換のように映し出される車窓の風景がとても印象的。
夜の街や、学校近くのパリっぽい石畳の道、「家」の庭など・・・ときおり写される屋外シーンのみずみずしさにもハッとします・・・
彼女たちの恋愛相手や家族関係、ビュル・オジェ演じる演劇学校教師コンスタンスの周辺にも、なにか「秘密」のありそうな仄めかし(「毒薬の小瓶」をこっそり持つ娘もいたりして)。セリフの端に少しずつ出てくる「謎や秘密」を追いながら見進めるのがたのしい。
映画開始早々に、セシル(ナタリー・リシャール)を「家」から立ち去らせる恋人リュカ。そして、彼女たちに近づく「謎の男」。このふたりは「正反対」の立場だけれど、どちらも彼女たちを「陰謀渦巻く??世界」に引き込む「役割」をしている・・・
「家」を出て行くセシルの代わりにやって来たのが「毒薬の小瓶」のルシア(イネス・ディ・マテイロス:オリヴェイラの『神曲』『わが幼少のポルト』など)☆
「謎の男」は、アンリ、トマ、ルシアン、三つの名を使い彼女たちに近づきます。「セシルの恋人と一緒に偽のIDを作っている」とか「セシルはテロリストだ」とか、(盗難にあい一世紀以上もの間行方不明だった)『美しき諍い女』(!)の「絵画取引」にセシルの恋人が関係して身の危険があるとか、まことしやかな話でもって三人の女の子に言い寄り、何かを探り出そうとします。さてこの男の目的はいったい・・・・・???
「謎の男」は、「毒薬の小瓶」のルシアには接触しません。この娘はどこかしら神秘性があって演技にもうまく入り込み、コンスタンスも「ダメ出し」しない・・・いろんなものを見透かすような目をしたルシアは、『パリはわれらのもの』のアンヌの「進化系」のように思えます。
この映画には「恋愛心理劇」のおもしろさもあって(これもリヴェットの映画の特徴だそうですが)、「謎の男」をめぐる彼女たちの恋愛心理を、女優さんたちそれぞれの個性を見せて素晴らしく演じているのも見どころです。「謎の男」も、いかにも切れる「回し者」という感じではなく、フランス映画っぽく?汚れて疲れた感じをチラリと見せたり・・・リアリティがあります(笑)。
演劇学校のリハーサルシーンに使われる「劇中劇」は、恋愛心理の描写に長けたマリヴォー作の『二重の不実』。
ビュル・オジェ演じる演出家コンスタンスが「ダメ出し」をくりかえすリハーサルと、彼女たちの実際の心理状態を絡めるように映画は進み、ある日・・・逮捕されてしまった恋人リュカへの想いで泣き出してしまうセシル。ナタリー・リシャール迫真の演技です(・・・が、劇中コンスタンスは「これは悲劇じゃないわ。ここは怒っているのよ」とダメ出しを・・・)。
セシルがなぜ泣いちゃったのか。客席でリハ見学中の子たちみんなで「歌って」説明するシーンや、彼女たちの「家」で繰り広げられる寸劇(← セシルの恋人リュカを巻き込んだ「事件」のダイジェストのような裁判劇。「政界のスキャンダルを暴露した人間が、濡れ衣の別件で告訴される」というお話。)も最後は「歌」で〆て。これはリヴェットのミュージカルへの想いなのでしょうか・・・手のこんだ作り。
(( ラストにふれています ))
セシルの恋人と「謎の男」が引きずってきたもの(陰謀を抱え込む世界??)が、彼女たちの日々を揺らし、やがて「驚きの展開」が・・・でも、そのあとは放りっぱなし(ミステリ、サスペンスの定石を外し)そのままラスト・・・と見せて・・・さらりと「回収」・・・なんてソフィスティケイトされた映画なの。
演劇教師コンスタンスの去り際をさりげなく演じるオジェが素敵です。若い女優さんたちのパワーに押され気味だけど、謎めいて儚く、最後のシーンはとてもいい感じ・・・
苦いハッピーエンドという劇中劇の『二重の不実』。
「これで終わりにしましょう」・・・コスチュームを着けた☆ルシアが演じる、恋人アルルカンに別れを告げ彼女を見染めた貴族の妻となるシルヴィアのセリフで、「劇中劇」も、映画『彼女たちの舞台』も〆ます。
コンスタンス不在のまま芝居のリハーサルを続ける彼女たちの間にただよう空気が後をひくラスト・カット・・・・
(( このあと「私見」ですが、内容にふれているので(ネタバレ)、未見の方は注意してください。))
リュカがセシルを通して、彼女たちの「家」に隠した、(政界スキャンダルの物的証拠の手紙の入った)小箱の「鍵」。
秩序維持のため証拠の「揉み消し」を図る刑事トマは、鍵のありかを探そうと彼女たちに言い寄り心身を弄びましたが、彼女たちの反撃に合い、結局ジョイスに撲殺されてしまいます。
なぜ、この役がジョイスだったのでしょう? ジョイスはトマの子をみごもっていたから。
たぶんこの女優さんが実際に妊娠していたから(お腹が大きかったのです)、そのようなストーリーへと膨らんだ(!)のではないかと推測しています。・・・劇中、トマとジョイスが会うシーンで、ふつうレモンは入れないカクテルに「レモンを」と注文しますし。(終盤煮詰まっってから)、トマの「どうするんだ?」のセリフのあと、トマは衝動的というかどこか切羽詰まった感じでジョイスにキスし、ジョイスは酷く乱れます。そのあと、やはりトマと肉体関係をもったクロード(← これは劇中、ぜんぜん露骨ではなく美しいと言えるのに、なんとも生々しいふんいきの「事後シーン」ではっきり示されます)とジョイスの、非常に居心地悪いシーンをふたりが素晴らしく演じてみせますが・・・終盤のこの複雑なムードは一体なんだろう?と、最初思いましたけれど、(個人的には)ジョイスの妊娠で解決しました(笑)。
コンスタンスのいない最後のリハ・シーンに、ジョイスは現れず、「ジョイスに会いに行く」というクロードと、「伝えたわ。喜んでた」というアンナのセリフがあります。・・・初めはジョイスが「服役中」なのかとだけ思いましたが、「出産準備中」でもあるのかもしれません。
【補足1】 四人組の女の子たち、国際色豊かなのもおもしろい設定です。リュカという恋人ができて先にこの家を出るセシルと、クロードはフランス人ですが、あと文中にも示したようにルシアはポルトガル人。小麦色の肌の美しいアンナは南(南米ふくむ、出身はアメリカ?)の血が混じるようですし、ジョイスはアイルランド出身。両親は故郷に帰ったという会話もありました。
【補足2】 「謎の男」トマのクロードへのお話は、もともと(バルザックの小説の登場人物で、リヴェットが『美しき諍い女』で映画化した)架空の画家フレンフォーフェルを実在のように語るのに始まり、『美しき諍い女』の盗難そして、(煩雑になるのでレビューには省いていましたが)その絵が最近現れて世界中あちこちしているという、クロードが「うっとり」してしまうお話まで、すべて作りごとなのですね(笑)。「謎の男」トマはまるで山師。。(リヴェット にとって、自分の次作予告を入れたメタ構造とも言えます。)
*** エンドクレジットの最後にこんなふうに出ます ⇨ 「全ての受刑者と 彼らを待つ人々に」 ***
2008年3月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「セリーヌとジュリー」はビデオですり切れるほど観て、いまや再生不能状態だったので、今回のDVD化を待ち望んでました。部屋を真っ黒くして、ろうそくを灯し、怪しいカクテルと共に観賞したい・・・。
2013年3月29日に日本でレビュー済み
セリーヌとジュリーは船で行く。
毎年初夏が来ると見たくなる映画です。
あっというまに3時間を超える大作ですが、見終わってしまいます。
私にとっては宝物のような映画です。
リヴェットのアリス、とよく言われるようですが、そこに勇ましくも
シャーロックホームズの冒険のようなテイストも味わえる。
見終わった後にまた最初から見たくなる、そんな映画です。
そして、秋になると見たくなる北の橋。
美しいオジェ親子の共演がまばゆいばかり。
こちらも毎年秋になると見たくなる。
ピアソラのリベルタンゴに併せてミニバイクでパリをかけるパスカルオジェ。
パスカルのドンキホーテ振りが、実に狂っていて素晴らしい。
彼女たちの舞台はこのDVDが所見でした。
余韻が深く残るのは、さすがリヴェット作品といったところです。
毎年初夏が来ると見たくなる映画です。
あっというまに3時間を超える大作ですが、見終わってしまいます。
私にとっては宝物のような映画です。
リヴェットのアリス、とよく言われるようですが、そこに勇ましくも
シャーロックホームズの冒険のようなテイストも味わえる。
見終わった後にまた最初から見たくなる、そんな映画です。
そして、秋になると見たくなる北の橋。
美しいオジェ親子の共演がまばゆいばかり。
こちらも毎年秋になると見たくなる。
ピアソラのリベルタンゴに併せてミニバイクでパリをかけるパスカルオジェ。
パスカルのドンキホーテ振りが、実に狂っていて素晴らしい。
彼女たちの舞台はこのDVDが所見でした。
余韻が深く残るのは、さすがリヴェット作品といったところです。
2007年2月2日に日本でレビュー済み
セリーヌとジュリーは船で行くを見てDVD化を切望していたので、
このボックスセットは夢が現実化した!!って位ほんと〜に嬉しい出来事です。
内容をみても他に二本も面白そうだし。
リヴェットファンならマストバイ。
今逃すと一生後悔します。
絶対に、、、買え!
というコメントの後にちゃんと買いました。
やっぱりセリーヌ〜は素晴らしいし、パスカル・オジェの北の橋で見るパリの町並み、
なーんて殺伐としてて、自分が25歳のときにひとりぼっちで徘徊したパリであることかしら!
と空気感に懐かしさを覚えました。
でもやっぱりセリーヌ〜ですね。これを観たくて買ったようなものですから。
このボックスセットは夢が現実化した!!って位ほんと〜に嬉しい出来事です。
内容をみても他に二本も面白そうだし。
リヴェットファンならマストバイ。
今逃すと一生後悔します。
絶対に、、、買え!
というコメントの後にちゃんと買いました。
やっぱりセリーヌ〜は素晴らしいし、パスカル・オジェの北の橋で見るパリの町並み、
なーんて殺伐としてて、自分が25歳のときにひとりぼっちで徘徊したパリであることかしら!
と空気感に懐かしさを覚えました。
でもやっぱりセリーヌ〜ですね。これを観たくて買ったようなものですから。