後年,東映のエースとなる中島貞夫監督の初期の傑作群像劇。
やくざでもないチンピラでもないという,どっちつかずの愚連隊という体を借りた当時の若者の気分を上手く表現しているフィルムで,青春群像として非常に優れている。
オープニングの松方弘樹率いる愚連隊の生態の描写は本当に秀逸で,これからの物語の導入としてはバツグンで今後の展開にワクワクする仕掛けになっていて,中島監督のセンスが光っている。
演じてる役者は,若いが既に自分の個性を十二分に出してる松方を筆頭に,荒木一郎の存在感や近藤正臣の飄々とした演技は観ていて面白いことこの上ない。ここにベテランの天知茂や高松英郎が画面を引き締めて,上手い具合にバランスを取っている。
また,新旧のやくざと愚連隊の違いを時代の気分に絡め描き出していて,また同時に世代間の価値感の捉え方の違いを一つの共同体を描くことで対比をクッキリと浮かび出している。
物語は二転,三転していき,最後は見てのお楽しみだが,思わずニヤッとすること受けあいである。
この作品の一般的な知名度は余りないと思われるが,隠れた傑作として,もっと評価されて良い映画だと思う。